建築環境工学
作用温度(温熱環境評価指標)の解説

作用温度(OT)は、室内の気温、放射温度、気流の影響を統合して人体が感じる温熱環境を評価する指標です。その定義と計算式を解説します。
📌 主なポイント
- ✓作用温度は、気温、放射温度、気流の影響を統合した温熱環境指標である。
- ✓周囲の壁面温度と対流熱伝達を考慮した仮想的な温度として定義される。
- ✓主に暖房時の温熱快適性評価において利用される。
作用温度(さようおんど、英: operative temperature、OT)は、人体が感じる温熱環境を評価するための指標の一つです。室内の気温だけでなく、周囲の壁面などからの放射熱や気流の影響を統合し、人体が受ける熱的影響を単一の温度で表現します。
定義と概念
作用温度は、実際の室内環境において人体が受ける熱交換量(対流と放射)と等しい熱交換が行われる、均一な温度の仮想的な閉鎖空間の温度として定義されます。気温が同じ室内であっても、壁面の温度や気流の状況によって人体が感じる熱的感覚は異なります。作用温度を用いることで、これらの要素を考慮した客観的な評価が可能となります。
計算式
作用温度(to)は、以下の式によって算出されます。

ここで、各変数は以下の通りです。
- to:作用温度
- ta:気温
- tr:平均放射温度(MRT)
- hc:対流熱伝達率
- hr:放射熱伝達率





利用上の注意
作用温度は、主に暖房環境などの温熱快適性評価に用いられます。ただし、人体の代謝量や着衣量、および気流による冷却効果(発汗による潜熱交換など)を直接的に評価する指標ではないため、環境評価を行う際には他の指標と併用されることが一般的です。
よくある質問
作用温度と気温は何が違いますか?
気温は空気の温度のみを指しますが、作用温度は気温に加えて周囲の壁面からの放射熱や気流の影響を考慮した、人体が感じる総合的な熱環境を表す指標です。
平均放射温度(MRT)とは何ですか?
平均放射温度(Mean Radiant Temperature)は、周囲の壁面や物体からの放射熱を考慮した温度指標であり、作用温度を算出する際の重要な要素の一つです。
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参考文献
- 日本建築学会編『建築環境工学』
- ISO 7730: Moderate thermal environments - Determination of the PMV and PPD indices and specification of the conditions for thermal comfort.