NASAの軌道上炭素観測衛星計画と初号機打ち上げ失敗の概要

📌 主なポイント
- ✓軌道上炭素観測衛星(OCO)は、大気中の二酸化炭素濃度の全地球的な測定を目的としたNASAの地球観測衛星ミッションである。
- ✓初号機は2009年2月24日にトーラスXLロケットで打ち上げられたが、ペイロードフェアリングの分離失敗により軌道投入に失敗し、南氷洋へ墜落した。
- ✓衛星には近赤外光領域で二酸化炭素と酸素分子の吸収スペクトルを同時に計測する高解像度分光計が搭載されていた。
- ✓初号機の失敗を受け、代替機であるOCO-2が2014年7月2日に打ち上げられ、観測に成功している。
軌道上炭素観測衛星(きどうじょうたんそかんそくえいせい、英:Orbiting Carbon Observatory, OCO)とは、アメリカ合衆国の宇宙機関であるアメリカ航空宇宙局(NASA)が進めた地球観測衛星およびそれを用いた観測ミッションである。宇宙空間から地球全体にわたる大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の分布を観測し、気候変動や炭素循環のメカニズムを解明することを目的としていた。

ミッションの目的と背景
本計画では、大気中の二酸化炭素の発生源と吸収源の地理的な分布を地域的スケールで把握できる精度のデータを収集することを目指していた。得られたデータは、全地球規模での炭素循環の解明や、温室効果ガスの存在度が自然プロセスおよび人類の活動によってどのように影響を受けるかという疑問に対する理解を深めるために活用される予定であった。これにより、より信頼性の高い気候変動の予測が可能になると期待されていた。
計画における衛星本体の製造はオービタル・サイエンシズ社が担当し、管理運営はジェット推進研究所(JPL)が行った。
技術仕様と観測機器
OCO衛星には、大気中の二酸化炭素量を精密に測定するための高解像度な分光計が1台搭載されていた。この分光計は3台の装置が並列で動作する仕組みになっており、共通の望遠鏡と架台を共有していた。
観測の原理として、近赤外光領域において地表から反射される太陽光が、大気中の二酸化炭素および酸素分子によって吸収される様子を同時に計測する。それぞれのガス分子は特定の波長の光を吸収するため、得られたスペクトルの中に現れる吸収線のパターン(指紋)を検出することで、光の経路上にある分子の数を高精度に測定することが可能となる設計であった。
2009年の打ち上げ失敗

初号機は2009年2月24日午前9時20分(GMT)、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地第576発射施設からトーラスXL 3110ロケットによって打ち上げられた。しかし、ロケットのペイロードフェアリング(衛星を保護するカバー)の分離に失敗した。
フェアリングが投棄されなかったことにより予定通りの軽量化ができず、ロケットは必要な軌道速度に到達することができなかった。機体はそのまま大気圏に落下し、南極付近の南氷洋(インド洋)に墜落した。この失敗により、初号機および初期の炭素観測ミッションは失われる結果となった。
代替機と後継ミッション

初号機の喪失後、NASAは代替機の開発を進めた。その後継機であるOCO-2は、2014年7月2日にデルタIIロケットによって打ち上げに成功し、地球上の二酸化炭素濃度の詳細なマッピングなどの観測業務を遂行している。