無機化学

オルト過ヨウ素酸の化学的特性と製法

オルト過ヨウ素酸の化学的特性と製法
オルト過ヨウ素酸(H5IO6)の化学式、物理的性質、製法、および酸化作用などの化学的特性について詳しく解説する専門事典記事です。

📌 主なポイント

  • オルト過ヨウ素酸の化学式は H5IO6 である。
  • CAS登録番号は 10450-60-9 である。
  • ヨウ素の最高酸化数(+VII)を示す強力な酸化剤である。

オルト過ヨウ素酸(オルトかようそさん、化学式: H5IO6)は、ヨウ素のオキソ酸の一種であり、過ハロゲン酸に分類される化合物です。分子内に-O-O-結合を持たないものの、ヨウ素が取り得る最高の酸化数(+VII)を示し、非常に強い酸化力を有しています。

物理的性質

オルト過ヨウ素酸は無色の吸湿性結晶として存在します。CAS登録番号は 10450-60-9 です。融点は文献によって異なりますが、およそ122°C付近を示し、緩やかに加熱することで脱水反応が進行します。

ヨウ素酸バリウムの加熱分解反応式
ヨウ素酸バリウムの加熱分解を示す化学反応式

製法

オルト過ヨウ素酸は、ヨウ素酸バリウムの加熱分解によって得られるオルト過ヨウ素酸バリウムを出発原料として合成されます。

オルト過ヨウ素酸バリウムと硫酸の反応式
オルト過ヨウ素酸バリウムと硫酸の反応によるオルト過ヨウ素酸の生成

また、オルト過ヨウ素酸水素バリウムに二酸化窒素を含まない濃硝酸を反応させる方法によっても合成することが可能です。

オルト過ヨウ素酸水素バリウムと濃硝酸の反応式
オルト過ヨウ素酸水素バリウムと濃硝酸の反応

さらに、得られたオルト過ヨウ素酸を緩やかに加熱することで融解し、脱水を経てメタ過ヨウ素酸が生成されます。

オルト過ヨウ素酸の加熱脱水によるメタ過ヨウ素酸の生成
オルト過ヨウ素酸の加熱による脱水反応

化学的性質と反応

水溶液中において、オルト過ヨウ素酸は水素イオンと過ヨウ素酸イオンに電離します。強力な酸化作用を持ち、例えばマンガン(II)イオンを過マンガン酸イオンへと酸化させる能力があります。

オルト過ヨウ素酸の還元半反応式
水溶液中におけるオルト過ヨウ素酸の還元半反応式

具体的な酸化反応の例として、マンガン(II)イオンとの反応式が挙げられます。

オルト過ヨウ素酸とマンガンイオンの酸化還元反応式
オルト過ヨウ素酸によるマンガン(II)イオンの過マンガン酸イオンへの酸化反応

加えて、有機化学の分野においては、ジオールを二つのカルボニル化合物へと酸化開裂させる試薬としても広く知られています。

よくある質問

オルト過ヨウ素酸の化学式は何ですか?
オルト過ヨウ素酸の化学式は H5IO6 です。
オルト過ヨウ素酸はどのような外観をしていますか?
無色の吸湿性結晶として存在します。

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参考文献

化学大辞典編集委員会 『化学大辞典』 共立出版、1993年。
日本化学会編 『新実験化学講座 無機化合物の合成I』 丸善、1977年。
FA コットン, G. ウィルキンソン著 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年。