酸素とフッ素の化合物:フッ化酸素の性質と化学

📌 主なポイント
- ✓フッ化酸素は酸素とフッ素からなる無機化合物の総称であり、酸化フッ素とも呼ばれる。
- ✓代表的な物質として二フッ化酸素(OF2)や二フッ化二酸素(O2F2)など複数の種類が知られている。
- ✓二フッ化酸素は常温で特異臭を持つ無色の気体であり、強い酸化力を持つ。
- ✓二フッ化二酸素は過酸化水素に似た折れ曲がった線状構造をもち、強力なフッ素化剤として働く。
フッ化酸素(フッかさんそ、英語: oxygen fluoride)は、酸素とフッ素から構成される無機化合物の総称である。別名として酸化フッ素(さんかフッそ、英語: fluorine oxide)とも呼ばれる。これまでに複数の種類が知られており、代表的なものとして二フッ化酸素、二フッ化二酸素、二フッ化三酸素、二フッ化四酸素、二フッ化五酸素、二フッ化六酸素および一フッ化二酸素が挙げられる。
主なフッ化酸素の種類と合成
二フッ化酸素は、他のハロゲン化酸素と同様に水とフッ素との反応や、水酸化ナトリウム水溶液へのフッ素の通じる方法、あるいはフッ化水素カリウムの水溶液を電解することなどで生成される。これに対し、二フッ化酸素以外の多くのフッ化酸素は、低温下において二酸素(O2)と二フッ素(F2)の混合物に放電もしくは紫外線を照射することで合成される。
二フッ化酸素の性質
二フッ化酸素(O2F2)は、常温で特異臭を持つ無色の気体であり、液体状態では淡黄色を示す。毒性を持ち、融点は-223.8 °C、沸点は-144.8 °Cである。ガラスを侵さず、水にはやや溶けるが、その水溶液は酸性を示さない。125 °Cまでは比較的安定であり、フッ化酸素の中では最も安定して存在し、単独で極端に化学的に不安定というわけではない。


一方で、その強い酸化力に大きな特徴がある。ハロゲンの単体とは室温で爆発的に反応し、水蒸気と混合した場合も室温で爆発を起こす。さらに、放電下では水素(H2)、メタン(CH4)、一酸化炭素(CO)と爆発的に反応する性質がある。
二フッ化二酸素の構造と反応性
二フッ化二酸素(O2F2)は、褐色気体であり、液体状態では赤褐色、固体状態ではオレンジ色を呈する。融点は-163.5 °C、沸点は-57 °Cである。分子構造は過酸化水素に類似した折れ曲がった線状分子であり、O-O結合長は121.7 pm、O-F結合長は157.5 pm、結合角∠FOOは109.3°、二面角は87.3°である。

低圧力下の二酸素と二フッ素の等モル混合気体に対し、低温(77-90 K)で高圧放電を行うことで得られる。非常に分解しやすく、-50 °Cでは約3時間の半減期で酸素とフッ素に分解する。強力なフッ素化剤および酸化剤として働き、多くの物質と低温でも爆発的に反応する。また、三フッ化ホウ素などのフッ素イオン受容性物質と反応してジオキシゲニル塩を生成する特性を持つ。

その他のフッ化酸素
二フッ化三酸素(O3F2)は、液体酸素と液体フッ素の混合物に紫外線を照射することで生成される赤褐色の結晶であり、90 Kでは暗赤色の粘性液体となる。非常に不安定で、二フッ素単体よりも高い反応性を示す。二フッ化四酸素(O4F2)は77 Kで赤褐色の固体として存在し、-183 °Cでも穏やかに分解する物質である。また、一フッ化二酸素(O2F)は低温でのみ安定なラジカル様の分子であり、原子状フッ素と二酸素から生成することが報告されている。


よくある質問
フッ化酸素とはどのような化合物ですか?
二フッ化酸素はどのような性質を持っていますか?
二フッ化二酸素はどのようにして合成されますか?
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参考文献
漆山 秋雄、「フッ化酸素」、『世界大百科事典』、CD-ROM版、平凡社、1998年。
Cotton, F. A.; Wilkinson,G.; Murillo, C. A.; Bochmann, M. (1999). Advanced Inorganic Chemistry (6th ed), pp. 455–456. Wiley: New York.
長倉三郎ら(編)、「フッ化酸素」、『岩波理化学辞典』、第5版 CD-ROM版、岩波書店、1999年。