痛み:生理学的・心理学的メカニズムと臨床的特徴

📌 主なポイント
- ✓国際疼痛学会は痛みを「実際の、または潜在的な組織損傷に関連した、またはそれに類似した、不快な感覚・感情上の体験」と定義している。
- ✓痛みは急性疼痛と慢性疼痛に大別され、慢性疼痛は予期される治癒期間を超えて続く痛みとして定義される。
- ✓痛みの信号は主にAδ線維とC線維によって末梢から脊髄を経て脳へと伝達される。
痛み(英: pain)とは、つらい感覚であり、しばしば強い刺激や有害な刺激によって引き起こされる。国際疼痛学会(IASP)は、痛みを「実際の、または潜在的な組織損傷に関連した、またはそれに類似した、不快な感覚・感情上の体験」と定義している[IASPdefinition-1]。この定義は2020年に41年ぶりに改定されたものである[mw-reference-text-cite_note-4]。
痛みは、ほとんどの先進国において医療機関受診の最も一般的な理由の一つであり[mw-reference-text-cite_note-5]、多くの病状において主要な症状として現れる。ヒトの生活の質(QOL)や一般的な機能を大きく妨げることがある[mw-reference-text-cite_note-6]。痛みのある人は、集中力、ワーキングメモリ、認知的柔軟性、問題解決能力、そして情報処理速度が低下しやすく、いらいら、抑うつ、不安を感じやすいことが知られている[mw-reference-text-cite_note-7]。
分類
国際疼痛学会は、患者の痛みを正確に説明するために、身体の部位、痛みの原因となっている障害を引き起こしている器官系、発生期間とパターン、強さ、および原因を特徴として用いることを推奨している[mw-reference-text-cite_note-19]。特に発生期間の観点からは、急性疼痛と慢性疼痛に大別される。
- 急性疼痛:通常は一過性のものであり、侵害刺激が取り除かれるか、根本的な損傷や病態が治癒するまでの間に生じる[mw-reference-text-cite_note-21]。
- 慢性疼痛:関節リウマチ、末梢神経障害、がん、特発性疼痛などにおいて、予期される治癒期間を超えて何年も続く痛みである[mw-reference-text-cite_note-5]。
神経学的メカニズム
末梢神経において、侵害受容器と呼ばれる特異的な受容器が強い熱的、化学的、機械的刺激に反応する[mw-reference-text-cite_note-53]。侵害受容器の末梢で発生した電気信号は、太さやミエリン鞘の有無が異なるAδ線維とC線維に沿って脊髄へと伝達される[mw-reference-text-cite_note-54]。Aδ線維は高速で鋭い痛みを伝え、C線維は低速で鈍い灼熱感のような痛みを伝える[mw-reference-text-cite_note-57]。これらの信号は脊髄から視床を経由して、島皮質や前帯状皮質などの脳の領域に広がり、感覚的側面や情動的側面として処理される[mw-reference-text-cite_note-57]。
よくある質問
急性疼痛と慢性疼痛の違いは何ですか?
国際疼痛学会による痛みの定義はどのようなものですか?
痛みの信号を伝える主な神経線維の種類は何ですか?
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参考文献
- Raja SN, Carr DB, Cohen M, Finnerup NB, Flor H, Gibson S, et al. (September 2020). “The revised International Association for the Study of Pain definition of pain: concepts, challenges, and compromises”. Pain. 161 (9): 1976–1982. doi:10.1097/j.pain.0000000000001939. PMC 7680716. PMID 32694387.