美術用具
絵画用パレットの構造と役割

絵画制作において絵具を混合するために使用されるパレットの構造、素材、および芸術的側面について解説します。
📌 主なポイント
- ✓パレットは絵具を混合・保持するための用具であり、語源は「小さな鍬」を意味する。
- ✓素材や形状は使用する絵具の粘度や特性に応じて、木材、樹脂、石材、あるいは仕切り付きのタイプなどが選ばれる。
- ✓笠間日動美術館は、国内外の画家のパレットを数百点収蔵する世界的に貴重なコレクションを保有している。
パレット(仏: palette)は、絵画制作において絵具を混合し、保持するために使用される板状の用具である。語源は「小さな (-ette) 鍬 (pale)」に由来する。画家の制作スタイルや使用する絵具の性質に応じて、多様な素材や形状のものが存在する。
素材と構造
パレットの素材は、使用する絵具の種類や画家の好みに応じて選択される。油絵具などの粘度が高い絵具には、合成樹脂、木材、あるいは大理石や御影石といった石材が用いられる。これらは仕切りのない一枚板状のものが一般的である。一方、水彩絵具やテンペラなど粘度が低い絵具を用いる場合には、絵具が流れ出さないよう、仕切りや窪みがあるパレットが適している。また、利便性を追求した使い捨てのペーパーパレットも広く利用されている。


芸術的側面とコレクション
パレットは単なる用具を超え、画家の色彩感覚や筆遣いが反映される場ともなる。一部の画家はパレット自体にモチーフを描き込む「パレット画」を制作することもある。日本国内では、笠間日動美術館が国内外の画家のパレットを多数収蔵しており、そのコレクションは世界的にも貴重なものとして知られている。これらは画商である長谷川仁が、画家の創作の秘密に触れるものとして収集を開始したものである。
画家のパレットに対する姿勢は様々であり、絵具を厚く積み重ねる画家もいれば、常に清潔に保つことを信条とする画家も存在する。
デジタル環境におけるパレット
現代のデジタルペイントツール(Adobe PhotoshopやSAIなど)においても、色を選択・管理するウィンドウを「パレット」と呼称する。これは物理的なパレットの機能がデジタル環境へ概念として継承されたものである。
よくある質問
パレットの素材はどのように選ぶべきですか?
使用する絵具の性質(油性か水性か)や粘度、および個人の制作習慣に基づいて選択します。一般的に油絵具には一枚板の木製や樹脂製、水彩絵具には窪みのあるタイプが適しています。
パレット画とは何ですか?
画家がパレットの表面に好みのモチーフを描き込んだ作品のことです。パレットは画家の色彩感覚や個性が表れる場所として、美術史的にも注目されることがあります。
デジタルツールにおけるパレットとは何ですか?
Photoshopなどのペイントソフトにおいて、色を作成・選択・管理するためのウィンドウやパネル機能を指します。
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参考文献
- 落合直文『言泉:日本大辞典』第四、大倉書店、1927年、3802頁。
- 御茶ノ水美術学院 用具辞書「ペーパーパレット」
- 朝日新聞「パレット にじむ創作の秘密」2023年11月24日夕刊。
- 日本色彩学会編集『色彩科学事典』朝倉書店、1991年。