自然科学
ペトリコール:雨上がりの大地の香り
ペトリコールとは、乾燥した地面に雨が降った際に発生する独特の香りを指す言葉です。その語源や科学的な発生メカニズム、植物の生育への影響について解説します。
📌 主なポイント
- ✓ペトリコールは、乾燥した地面に雨が降った際に発生する独特の香りを指す。
- ✓1964年にイザベル・ジョイ・ベアとリチャード・G・トーマスによって提唱された。
- ✓植物由来の油分が土壌や岩石から放出されることで発生する。
- ✓この油分には種子の発芽を抑制する作用があることが研究で示されている。
ペトリコール(英: Petrichor)とは、乾燥した地面に雨が降った際に立ち上る独特の香りを指す言葉です。この用語は、1964年にオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の鉱物学者であるイザベル・ジョイ・ベア(Isabel Joy Bear)とリチャード・G・トーマス(R. G. Thomas)によって、科学誌『ネイチャー』に発表された論文の中で提唱されました。[1]
語源
「ペトリコール」という名称は、古代ギリシア語の「petros(石)」と、ギリシア神話において神々の体内を流れるとされる霊液「ichor(イコール)」を組み合わせた造語です。
発生メカニズム
ベアとトーマスは、この香りの発生源について、乾燥した期間中に植物から放出された油分が、粘土質の土壌や岩石の表面に吸着されることに起因すると説明しています。雨が降ると、これらの吸着されていた油分が土壌や岩石から空気中に放出され、独特の香りが生じます。[1]
植物の生育への影響
1965年の追跡研究において、ベアとトーマスは、この油分が種子の発芽や初期の生育を抑制する作用を持つことを報告しました。この現象は、植物が成長に適さない厳しい環境下において、種子の発芽を一時的に防ぐための適応戦略である可能性が示唆されています。[2]
関連する現象
雨が降った際に感じる匂いの原因はペトリコールだけではありません。土壌中の細菌が生成する有機化合物であるゲオスミンや、雷放電に伴って発生するオゾンなども、雨天時に感じられる匂いの構成要素として知られています。
よくある質問
ペトリコールという言葉は誰が作ったのですか?
1964年にオーストラリアの鉱物学者、イザベル・ジョイ・ベアとリチャード・G・トーマスによって命名されました。
ペトリコールはどのようにして発生しますか?
乾燥した期間に植物から放出された油分が土壌や岩石に吸着され、雨が降った際にそれらが空気中に放出されることで発生します。
雨の匂いの原因はペトリコールだけですか?
いいえ、ペトリコール以外にも、土壌細菌が生成するゲオスミンや、雷によるオゾンの発生などが雨の匂いに寄与しています。
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ゲオスミン土壌学揮発性有機化合物気象学
参考文献
- Bear, I.J.; Thomas, R.G. (March 1964). "Nature of argillaceous odour". Nature 201 (4923): 993–995. doi:10.1038/201993a0
- Bear, I.J.; Thomas, R.G. (September 1965). "Petrichor and plant growth". Nature 207 (5005): 1415–1416. doi:10.1038/2071415a0