ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の化学的性質と環境影響

📌 主なポイント
- ✓PFOSは完全フッ素化された直鎖アルキル基を持つスルホン酸であり、優れた界面活性能を持つ。
- ✓自然界で極めて分解されにくいため、環境中での残留性や生物蓄積性が問題視されている。
- ✓2010年の化審法改正により、日本国内では第一種特定化学物質に指定され、事実上全廃された。
ペルフルオロオクタンスルホン酸(ペルフルオロオクタンスルホンさん、英: perfluorooctanesulfonic acid、略称: PFOS)は、ペルフルオロスルホン酸(PFSA)の1種であり、完全フッ素化された直鎖アルキル基を有するスルホン酸です。共役塩基のアニオンが界面活性剤として用いられ、一般にPFOSと呼ばれています。
化学的性質と合成
PFOSの水溶性は低い(570 mg/L)ですが、ジメチルスルホキシド(DMSO)には溶けやすい性質を持ちます。蒸気圧は小さく、界面活性能が高いため、水の表面張力を15 mN/mまで低下させることが可能です。オクタンスルホン酸フルオリドの電解フッ素化によって合成されます。自然界ではほとんど分解されないため、いわゆる「永遠の化学物質」と呼ばれることがあります。
用途
PFOSは高い親水性・親油性や光学的な低屈折率、高い起泡性といった特徴を持ちます。そのため、過去には以下のような用途で広く使用されていました。
- めっき液のミスト防止剤(泡を安定させてミスト化を防止)
- 塗料のレベリング剤(塗膜の平滑化)
- 消火剤(水成膜泡消火薬剤や中性強化消火液)
- 殺虫剤
- 半導体リソグラフィの反射防止剤
なお、PFOS自体には撥水・撥油機能はなく、撥水撥油剤は有機フッ素化合物のモノマーを物体表面で重合させてポリマーとするものです。
環境汚染と生体への影響
2000年に製造メーカーであった3M社が野生生物中からのPFOS高濃度検出を公表し、2002年には製造中止を決定しました。2002年に経済協力開発機構(OECD)環境局がまとめた報告書では、哺乳類種に対して残留性、生物蓄積性、毒性があると指摘されています。
動物実験や疫学研究において、免疫系への影響や発育阻害、内分泌かく乱作用などが検討されてきました。野生生物や職業的曝露を受けた人間の血液中などからも高濃度のPFOSが検出されており、世界的な環境問題として認識されています。
規制動向
国際的な規制として、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)の附属書Bに追加され、世界的に製造や使用の廃止・制限が進められました。欧州連合(EU)ではREACH規則等を通じて厳格な含有量制限が課されています。
日本においては、2009年のPRTR法第一種指定化学物質への追加を経て、2010年4月1日の化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)の改正により第一種特定化学物質に指定され、製造および輸入が原則として禁止(許可制)されました。
よくある質問
PFOSとはどのような物質ですか?
PFOSが「永遠の化学物質」と呼ばれるのはなぜですか?
PFOSの日本国内での規制状況はどうなっていますか?
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参考文献
- OECD (2002) Hazard Assessment of Perfluorooctane Sulfonate (PFOS) and its Salt.
- 環境省: 国内等の動向について(PFOS)