天文学

フォボス:火星の第1衛星の物理的特徴と起源

フォボス:火星の第1衛星の物理的特徴と起源
火星の第1衛星フォボスの軌道特性、地形、起源に関する諸説、およびこれまでの探査計画について詳しく解説する天文学記事。

📌 主なポイント

  • フォボスは1877年8月18日にアサフ・ホールによって発見された火星の第1衛星である。
  • 火星の自転速度よりも速く公転しているため、火星の表面からは1日に2回西から昇るように見える。
  • フォボス最大のクレーターは「スティックニー」と名付けられている。

フォボス(Mars I Phobos)は、火星の2つの衛星のうちより内側を周回する第1衛星である。もう一つの衛星であるダイモスよりも大きく、太陽系の惑星の衛星の中で最も主星に近い軌道を持つ天体として知られている。

発見と命名

フォボスは1877年8月18日にアメリカの天文学者アサフ・ホールによって発見された。ギリシア神話に登場する恐怖の神ポボスにちなんで命名された。発見には反射望遠鏡による観測が用いられた。

軌道と物理的特徴

フォボスは火星の表面から6,000キロメートル以内の非常に近い距離を公転している。平均公転半径は9,376キロメートルで、公転周期は7時間39.2分である。この軌道は火星の静止軌道より内側にあるため、フォボスの公転速度は火星の自転速度よりも速い。その結果、火星の表面から見ると1日に2回西から昇り、東へ沈むように観測される。

フォボスの三軸径は約27.0 × 21.4 × 19.2キロメートルであり、平均密度は1.872 g/cm3である。また、火星からの強大な潮汐力の影響を受けて、公転と自転が同期している。

地形と表面構造

フォボスの表面には数多くのクレーターや溝(グルーブ)が確認されている。最大のクレーターは発見者の妻にちなんで名付けられた「スティックニー」であり、その周囲には放射状の溝が広がっている。また、フォボスの自転に伴い、反射スペクトルが先行半球と後行半球で異なることが知られており、それぞれフォボス青色部(PBU)およびフォボス赤色部(PRU)と呼ばれている。

起源に関する仮説

フォボスの起源については、主に複数の仮説が提唱されている。

  • 捕獲説:火星の重力に捕獲された小惑星であるとする説。スペクトル特性がD型やT型の小惑星に類似している点などが根拠とされる。
  • ジャイアントインパクト説:火星への天体衝突で生じたデブリ円盤から集積したとする説。
  • リング・衛星サイクル説:過去の衛星の破壊と再集積のサイクルを繰り返しているとする仮説。
  • ダイモスとの共通起源説:母天体の分裂によって2つの衛星が同時に生じたとする説。

近接探査と今後の計画

フォボスはこれまでに複数の探査機によって観測されてきた。1971年のマリナー9号による撮影をはじめとして、ソ連のフォボス2号などが接近観測を実施した。さらに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)による火星衛星探査計画(MMX)が進行中で、フォボスからのサンプルリターンが計画されている。

よくある質問

フォボスはいつ発見されましたか?
1877年8月18日にアサフ・ホールによって発見されました。
フォボスの公転周期はどのくらいですか?
公転周期は7時間39.2分です。
フォボスの最大のクレーターの名前は何ですか?
最大のクレーターは「スティックニー」と呼ばれています。

関連記事

ダイモス (衛星)火星アサフ・ホール火星衛星探査計画小惑星

参考文献

  • Planetary Satellite Physical Parameters, JPL Propulsion Laboratory.
  • 太陽系内の衛星表, 国立科学博物館.
  • 火星衛星探査計画(MMX), 宇宙航空研究開発機構.