言語学・コミュニケーション

プレインイングリッシュの歴史と発展

明確で簡潔な英語表現を追求するコミュニケーション様式「プレインイングリッシュ」の歴史、各国での法制化や発展、日本における取り組みについて解説します。

📌 主なポイント

  • プレインイングリッシュは、専門用語や不必要な隠語を避け、明確で簡潔な表現を追求するコミュニケーション様式である。
  • イギリスでは1948年にアーネスト・ガワーズによる手引書『Plain Words』が出版され、普及の契機となった。
  • アメリカ合衆国では2010年に平易記載法が成立し、連邦機関による平易な言語の使用が義務化された。
  • 日本では1994年にケリー伊藤によって紹介され、2023年には一般社団法人日本プレインランゲージ協会(JAPL)が設立された。

プレインイングリッシュ(Plain English)は、明確さと簡潔さを強調し、専門用語や不必要な隠語を回避するコミュニケーション様式の総称である。特に法律や行政文書などの政府公式発表において、対象読者が容易に理解できる表現を用いることを目的としている。

イギリスにおける展開

1946年、作家のジョージ・オーウェルはエッセイ『政治と英語』において、不正確で大げさな標準書面英語の危険性を批判した。その2年後の1948年、公務員であったアーネスト・ガワーズ卿が大蔵省の依頼を受けて執筆した手引書『Plain Words』を出版し、これが広く読まれることとなった。ガワーズは法律英語の特殊性についても論じており、のちの1999年消費者契約における不公正条項規制などでは「平易かつ明瞭」な言語による記述が規定されるようになった。また、2005年のロンドン同時爆破事件の調査においては、救急隊が明確な意思疎通のためにプレインイングリッシュを使用すべきであると勧告されている。

アメリカ合衆国における展開

米国では1970年代から政府通達における平易な言語の運動が始まり、1976年の文書業務削減法や、ジミー・カーター大統領による大統領令などを経て定着していった。2010年には平易記載法(Plain Writing Act of 2010)が成立し、連邦機関における必須事項となった。法律実務の分野では、デイヴィッド・メリンコフが1963年の著書『The Language of the Law』で米国法におけるプレインイングリッシュの動きに着手し、証券取引委員会(SEC)も1998年に証券会社向け規則として採用している。

日本における動向

日本においては、1994年にケリー伊藤がその概念を紹介した。その後、英文情報を作成・発信する人々に向けて知識の普及や研修、検定などの施策を行うため、2019年4月にJapan Plain English & Language Consortium(JPELC)が発足し、2023年4月に一般社団法人日本プレインランゲージ協会(JAPL)へと組織改編された。

よくある質問

プレインイングリッシュの主な目的は何ですか?
対象とする読者が容易に理解できる方法で記述し、クリアでダイレクトなコミュニケーションを図ることです。
イギリスにおけるプレインイングリッシュの初期の展開に大きく貢献した人物は誰ですか?
作家のジョージ・オーウェルや、公務員であったアーネスト・ガワーズ卿が挙げられます。
アメリカ合衆国で平易な言語の使用を連邦機関に義務付けた法律は何ですか?
2010年に成立した平易記載法(Plain Writing Act of 2010)です。

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参考文献

  • ケリー伊藤『プレインイングリッシュのすすめ』講談社、1994年。
  • Gowers, Ernest. The Complete Plain Words.
  • Gardham, Duncan (10 March 2011). “7/7 inquests: emergency services should use plain English”. The Telegraph.
  • 一般社団法人 日本プレインランゲージ協会『プレインジャパニーズの教科書』コスモピア、2024年。