物理定数としてのプランク定数:定義とキログラム改定の歴史

📌 主なポイント
- ✓プランク定数の値は、2019年5月のSI改定により正確に 6.62607015×10^-34 J⋅s と定義された。
- ✓プランク定数 h を 2π で割った値は、換算プランク定数(ディラック定数 ħ)と呼ばれている。
- ✓2019年の国際単位系(SI)改定において、プランク定数はキログラムの新たな定義の基準となる定義定数に採用された。
プランク定数(プランクていすう、英語: Planck constant)は、光子のもつエネルギーと振動数の比例関係を表す比例定数であり、量子論の本質を特徴付ける普遍的な物理定数である。
量子力学の創始者の一人であるマックス・プランクにちなんで命名された。作用の次元を持つことから、作用量子とも呼ばれる。国際単位系(SI)における単位はジュール秒(記号: J⋅s)である。プランク定数は2019年5月の国際単位系(SI)改定に伴い定義定数となり、その値は正確に 6.62607015×10−34 J⋅s と定められている。
定義と換算プランク定数
光子の持つエネルギー $E$ は振動数 $ u$ に比例し、その比例定数がプランク定数 $h$ である。
また、プランク定数 $h$ を円周率 $oldsymbol{\pi}$ の2倍で割った量 $h/2oldsymbol{\pi}$ は「換算プランク定数」、またはポール・ディラックにちなみ「ディラック定数」と呼ばれる。記号には $h$ にストロークを付けた $\hbar$(エイチバー)が用いられ、その値は 1.054571817...×10−34 J⋅s である。
歴史的背景
黒体放射とプランクの仮定
1896年にヴィルヘルム・ヴィーンが黒体放射のエネルギー分布に関する法則を提案した。この式は高振動数領域では測定値をよく説明したものの、低振動数領域では合致しなかった。1900年、マックス・プランクは低振動数領域でも測定値と一致するように理論式を修正し、プランクの法則を提案した。
プランクはその公式を説明する過程で、振動数 $ u$ の光のエネルギーの受け渡しは大きさ $h u$ を単位としてのみ起こり得るという仮定を導入した。このとき現れた普遍定数がプランク定数である。
光量子仮説
1905年、アルベルト・アインシュタインはプランクの理論に影響を受け、光が粒子のような性質を持つとする光量子仮説を提唱して光電効果を説明した。この功績などにより、アインシュタインは1921年のノーベル物理学賞を受賞している。アインシュタインが導いた式の正しさは、のちにロバート・ミリカンによる長年の実験によって確かめられた。
キログラムの新しい定義への寄与
質量のSI基本単位であるキログラムは、かつては国際キログラム原器(IPK)を基準としていたが、2019年5月20日に施行された改定により、プランク定数を用いた新しい定義へと移行した。
この改定においてプランク定数は値が固定された「定義定数」となり、その値は実験的に測定される変動値ではなく、正確に 6.62607015×10−34 J⋅s と定義された。この定数の固定に伴い、光速度やセシウム133の超微細遷移周波数と組み合わせてキログラムが導出される仕組みが確立された。
よくある質問
プランク定数とは何ですか?
換算プランク定数(ディラック定数)とは何ですか?
プランク定数はキログラムの定義とどのように関係していますか?
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参考文献
- CODATA Value
- The American Heritage® Science Dictionary
- 藤井賢一「質量標準の現状とキログラム(kg)の定義改定をめぐる最新動向」『計測と制御』第53巻第2号、2013年。