気象学

極偏東風

極偏東風
極偏東風(極東風)は、両極域の大気下層で吹く東寄りの恒常風です。その発生メカニズムや大気循環における役割について解説します。

📌 主なポイント

  • 極偏東風は、両極域の大気下層で吹く東寄りの恒常風である。
  • 極高圧帯から寒帯前線に向かって吹く風が、コリオリの力により東寄りに偏ることで発生する。
  • 地表から高度1〜3キロメートル程度の薄い層で発生し、風の変動が比較的大きい。

極偏東風(きょくへんとうふう、英語: polar easterlies)は、北極および南極の両極域周辺において、大気下層を吹く東寄りの恒常風です。極東風極風とも呼ばれます。

発生メカニズム

極偏東風は、地球の大気大循環の一部として形成されます。極域では寒冷な空気により高気圧(極高気圧)が形成されます。この極高圧帯から、より低緯度側に位置する寒帯前線(亜寒帯低圧帯)に向かって空気が流れ出します。この際、地球の自転に伴うコリオリの力を受けることで、風向が東寄りに偏ります。

地球の大気循環のモデル
地球の大気循環のモデル

この循環において、寒帯前線付近で上昇した空気は対流圏上層を極方向へ移動し、極高圧帯で下降することで極循環を構成しています。極偏東風が吹く層は地表から高度1〜3キロメートル程度の比較的薄い領域に限られます。

特徴

極偏東風は、貿易風のような安定した恒常風とは異なり、風向や風速が不規則に変動しやすいという特徴があります。対流圏の上層では西風が吹いており、極渦を形成しているのに対し、下層ではこの東風が卓越しています。

北半球においては、アリューシャン低気圧やアイスランド低気圧の北側で顕著に見られます。一方、南半球では南極大陸の地形の影響を受け、滑降風(カタバ風)の性質を伴った強い南東風として観測されることが多く、地表付近に強風部が形成されます。

よくある質問

極偏東風と極東風は別の風ですか?
いいえ、同じ風を指します。学術的には極偏東風と呼ばれることが一般的ですが、極東風や極風とも呼ばれます。
極偏東風はどの程度の高さまで吹いていますか?
主に地表から高度1〜3キロメートル程度の比較的薄い大気層で吹いています。
なぜ風が東寄りになるのですか?
極高圧帯から低緯度側へ向かって流れる空気が、地球の自転によるコリオリの力を受けることで、進行方向に対して右(北半球)または左(南半球)に偏り、結果として東寄りの風となります。

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参考文献

  • 気象科学事典, p.166「極偏東風」(著者: 二階堂義信)
  • 岩槻秀明『最新気象学のキホンがよ〜くわかる本』秀和システム, 2012年, pp.323-332.
  • 倉嶋厚、青木孝「極偏東風」『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館.
  • 山川修治、江口卓、高橋日出男 ほか 編『図説 世界の気候事典』朝倉書店, 2022年, pp.2-3.
  • Glossary of Meteorology, American Meteorological Society.