気象学

極高圧帯の気候学的特徴と大気循環

極高圧帯の気候学的特徴と大気循環
極高圧帯(極高気圧)は北極や南極の両極域下層に形成される高圧帯です。大気循環や極地気候における特徴について詳しく解説します。

📌 主なポイント

  • 極高圧帯は北極・南極の両極域の大気下層に形成される高圧帯である。
  • おおむね600 hPa高度より下層に現れる背が低い高気圧である。
  • 南極大陸上では年間を通じて南極高気圧が見られるが、北極海では季節による変動が大きい。
  • 降水量が極めて少なく、極地砂漠と呼ばれる乾燥地帯を形成している。

極高圧帯(きょくこうあつたい、英語: polar high, polar anticyclone)は、地球の北極および南極の両極域における大気下層に形成される高圧帯のことです。

地球の大気循環のモデル
地球の大気循環のモデル

概要と形成メカニズム

両極周辺の極めて寒冷な大気が冷却されて収縮し、下降気流が生じることによって下層に高圧帯が形成されます。極高圧帯からは、高緯度側から寒帯前線や亜寒帯低圧帯に向かって地上で東寄りの極東風が吹き出します。これに対し、上空では極に向かう流れが存在し、全体として極循環と呼ばれる大気の循環を形作っています。

亜熱帯高圧帯などの他の大規模な高圧帯とは異なり、極高圧帯はおおむね600 hPa高度より下層の比較的低い高度にしか現れない背が低い高気圧です。時間的な変動が大きく、平均的な統計データとしてその存在が確認されます。なお、極高圧帯の上部にあたる対流圏上層には、対流圏極渦と呼ばれる低気圧が存在しています。

北極と南極における違い

極高圧帯に準定常的に現れる極高気圧は、北半球の北極域と南半球の南極域でそれぞれ異なる性質を示します。

  • 南極域: 南極大陸の広大な氷雪面上には、年間を通じて南極高気圧が持続的に見られます。
  • 北極域: 北極海を中心に北極高気圧が晩春から初秋にかけて発達しますが、冬季になると低緯度側からユーラシア大陸のシベリア高気圧や北米大陸のカナダ高気圧が強く張り出すため、相対的に目立たなくなります。

かつてW. H. Hobbsは、南極やグリーンランドの氷床上に定常的な氷河高気圧が形成され、地球の大気循環において支配的な役割を果たしているという仮説を提唱しました。しかしその後の観測によって、考えられていたほど定常的ではなく、大気循環における役割も限定的であることが判明しています。

極前線と降水特性

寒帯前線帯は、極方面からの冷たい気団と亜寒帯・中緯度からの温暖な偏西風の境界となっています。さらに、寒帯前線よりもさらに極に近い地域においても、気団の性質の違いによって「極前線(北極前線や南極前線)」と呼ばれる境界が生じる場合があります。これらは、著しく低温で乾燥した極気団と、海面から熱を受け取って変質した相対的に暖かい寒帯気団との間で擾乱を発達させます。

極高圧帯に覆われる地域では下降気流が支配的であるため降水量が非常に少なく、極地砂漠と呼ばれる乾燥した気候環境が形成されています。

よくある質問

極高圧帯はどのようにして形成されますか?
両極周辺の寒冷な空気が冷やされて下降し、大気下層で高圧帯を形成することで生じます。
北極と南極の極高気圧にはどのような違いがありますか?
南極では大陸上に周年南極高気圧が見られますが、北極海では晩春から初秋にかけて発達する一方で、冬季には大陸側の高気圧の影響で目立たなくなります。
極高圧帯周辺の気候的な特徴は何ですか?
下降気流が支配的なため降水量が非常に少なく、極地砂漠と呼ばれる乾燥した環境になっています。

関連記事

大気大循環高気圧寒帯前線極東風極地砂漠

参考文献

日本気象学会 編『気象科学事典』東京書籍、1998年。 岩槻秀明『最新気象学のキホンがよ〜くわかる本』秀和システム、2012年。 山川修治ほか編『図説 世界の気候事典』朝倉書店、2022年。