ポリエステル樹脂の化学的特性と産業応用

📌 主なポイント
- ✓ポリエステルは多価カルボン酸とポリアルコールを脱水縮合させて得られる縮合重合体である。
- ✓最も生産量が多いポリエステルはテレフタル酸とエチレングリコールから製造されるポリエチレンテレフタラート(PET)である。
- ✓PETは1941年にイギリスのキャリコプリンターズによって発表され、1953年にデュポンが特許を取得して工業化した。
ポリエステル(英: polyester、略号:PEs)は、多価カルボン酸とポリアルコールを脱水縮合させてエステル結合を形成させることによって合成される縮合重合体の総称である。合成繊維やペットボトルをはじめとするプラスチック材料として、現代産業において広く普及している。

ポリエステルの基本的な合成は、複数のアルコール性官能基を持つポリアルコールと、複数のカルボキシル基を持つ多価カルボン酸の脱水縮合により行われる。これにより、両成分が交互に配列した重合体が生成される。組み合わせるポリアルコールや多価カルボン酸の種類を選択することで、多様な特性を持つポリエステルを合成することが可能である。また、多価カルボン酸のメチルエステルなどを用いたエステル交換反応も合成手法として利用される。

主な分類と成分
ポリエステル樹脂は、その用途や化学組成に応じていくつかのグループに大別される。
- テレフタル酸系ポリエステル:テレフタル酸とエチレングリコールを主成分とするPETなど。繊維や容器に多用される。
- 不飽和ポリエステル:ポリエステル分子内に不飽和基を持たせ、スチレンなどのビニル基を持つモノマーと共重合させる樹脂。ガラス繊維などで強化され、船舶や成形品に利用される。
- アルキド樹脂:油脂や他の樹脂を反応に加えて性質を調整した変性ポリエステル樹脂。

主要な構成成分
- ジカルボン酸成分:テレフタル酸(TPA)、2,6-ナフタレンジカルボン酸(NDC)など
- ジオール成分:エチレングリコール(EG)、1,3-プロパンジオール(PDO)、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)など
主なポリエステルの種類

ポリエチレンテレフタラート(PET)
ポリエチレンテレフタラート(PET)は、石油由来の物質であり、数あるポリエステルの中で最も生産量が多い。1941年にイギリスのキャリコプリンターズが『テリレン』として発表し、1953年にアメリカのデュポンが特許を取得して工業化した。日本では1958年から生産が開始され、「テトロン」などのブランド名で衣料用合成繊維として広く普及した。
耐熱性や強度、染色性や蒸散性に優れるため、衣料用繊維だけでなく、飲料用容器としてのペットボトルやフィルムなど経済性に優れた樹脂として広く利用されている。


ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)
テレフタル酸またはそのジメチルエステルと1,3-プロパンジオールから製造されるポリエステル。高い伸縮性、形状安定性、柔らかな肌触りを特徴とし、各種のマルチフィラメントや短繊維として商品化されている。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)
テレフタル酸と1,4-ブタンジオールから製造される熱可塑性ポリエステル。エンジニアリングプラスチックの一つであり、熱安定性、寸法精度、電気特性に優れるため、電気電子部品や自動車部品などに幅広く利用されている。

ポリエチレンナフタレート(PEN)とポリブチレンナフタレート(PBN)
2,6-ナフタレンジカルボン酸を原料とするポリエステル。PENはPETに比べてガスバリア性や機械強度が高く、酸素や二酸化炭素、水蒸気の透過性が低い特性を持つ。PBNは耐摩耗性が高く、主にエンジニアリングプラスチックとして利用される。
