化学物質
水酸化カリウムの化学的性質と産業的用途

水酸化カリウム(苛性カリ)の化学的性質、製造方法、および液体石鹸や洗浄剤などの産業用途について解説します。
📌 主なポイント
- ✓化学式はKOH、式量は56.11である。
- ✓潮解性を持ち、水やエタノールに溶けやすい強塩基である。
- ✓水酸化ナトリウムよりも塩基性が強く、液体石鹸や工業用洗浄剤の原料として広く利用される。
水酸化カリウム(英: potassium hydroxide)は、化学式 KOH で表される無機化合物であり、カリウムイオンと水酸化物イオンから構成される強塩基性のイオン結晶です。一般には苛性カリ(かせいカリ、英: caustic potash)とも呼ばれます。
化学的性質
水酸化カリウムは白色の固体であり、強い潮解性を持つため、空気中の水分を吸収して溶解する性質があります。水やエタノールによく溶け、その水溶液は強力なアルカリ性を示します。タンパク質を腐食させる性質があるため、取り扱いには注意が必要です。

水酸化ナトリウムと比較すると、水酸化カリウムはより強い塩基性を示します。これはカリウムイオンのイオン半径がナトリウムイオンよりも大きく、水酸化物イオンとの相互作用が小さいため、より高い塩基性が発揮されることに起因します。また、二酸化炭素を吸収して炭酸カリウムを生成する性質も持ちます。

産業的用途
水酸化カリウムは、その強力な塩基性を活かして幅広い産業分野で使用されています。
- 液体石鹸の製造: 水酸化ナトリウムが固形石鹸の製造に用いられるのに対し、水酸化カリウムはエタノールへの溶解度が高く、液体石鹸の原料として適しています。
- 洗浄剤: 配管の詰まり解消剤や、空調・クリーニング業界向けの業務用強力洗浄剤として利用されます。
- 化学合成: 医薬品の製造や、炭酸カリウムの原料として重要な役割を果たします。
- 分析化学: 皮膚科における真菌検査(皮膚病変KOH試験)など、組織を溶解させる試薬としても用いられます。
よくある質問
水酸化カリウムと水酸化ナトリウムの違いは何ですか?
どちらも強塩基ですが、水酸化カリウムの方が塩基性が強く、エタノールへの溶解度が高いという特徴があります。そのため、液体石鹸の製造などには主に水酸化カリウムが用いられます。
水酸化カリウムはなぜ危険なのですか?
タンパク質を腐食させる性質があり、皮膚や眼に付着すると重度の化学火傷を引き起こす可能性があるため、日本では毒物及び劇物取締法により劇物に指定されています。
水酸化カリウムの主な用途は何ですか?
液体石鹸の製造、工業用洗浄剤、医薬品合成、および炭酸カリウムの原料として広く利用されています。
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参考文献
- Lide, D. R., ed. (2005), CRC Handbook of Chemistry and Physics (86th ed.), CRC Press.
- Seward, R.P; Martin, K.E. (1949). "The melting point of potassium hydroxide.", J. Am. Chem. Soc. 71(10): 3564–3565.
- 経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計編