気象学

気象学における温位の定義と大気安定度の評価

気象学における温位の定義と大気安定度の評価
気象学や海洋学で用いられる温位の定義、数式、および高度方向の変化に基づく大気の静적安定度の評価について解説します。

📌 主なポイント

  • 温位とは、空気塊を1000 hPaに断熱変化させたときの温度である。
  • 高度が上昇するにつれて温位が増加する大気は、静的安定である。
  • 温位の概念は大気科学や海洋学などの成層流体を扱う分野で広く用いられる。

温位(おんい、英語: potential temperature)とは、気圧

気圧P
気圧P
、温度
温度T
温度T
の空気塊を、基準気圧
基準気圧1000 hPa
基準気圧1000 hPa
に断熱変化させたときの温度のことである。

温位を表す記号
温位を表す記号

温位

温位
温位
は、以下の式によって表される。

温位の計算式
温位の計算式

ここで気体定数を

気体定数
気体定数
、定圧比熱を
定圧比熱
定圧比熱
とする。温位の概念はあらゆる成層流体に適用され、特に大気科学や海洋学において重要な物理量として頻繁に使用される。

大気の静的安定度と温位の高度変化

温位の高度方向(

高度方向z
高度方向z
方向)の変化は、大気の静的安定度を考察する上で極めて有用である。

温位と大気の静的安定性
温位と大気の静的安定性

気温変化が乾燥断熱減率に基づく状況を考える。このとき、温位

温位
温位
は一定であり、「大気は中立である」という。温位の微分について、以下の関係が成立する。

中立安定の条件
中立安定の条件

もし、高度が上昇するときに温位

温位
温位
が増加する場合、大気は安定であり、以下の条件が成立する。

安定大気の条件
安定大気の条件

一方、高度上昇時に温位

温位
温位
が減少するときは、大気は不安定であり、以下のようになる。

不安定大気の条件
不安定大気の条件

温位の保存式

大気運動における温位の時間変化は、熱力学の法則に基づいて次のように表される。

温位の保存式
温位の保存式

よくある質問

温位とは何ですか?
気圧P、温度Tの空気塊を標準気圧である1000 hPaまで断熱変化させた仮上の温度のことです。
大気が安定しているときの温位の条件は何ですか?
高度が上昇するにつれて温位が増加する場合、大気は安定状態にあるとみなされます。

関連記事

温度相当温位大気熱力学

参考文献

  • 小倉義光『一般気象学』(第2版補訂版)東京大学出版会、2016年。
  • 田中博『地球大気の科学』共立出版、2017年。