降水過程:雨や雪が形成されるメカニズム

📌 主なポイント
- ✓降水過程は、氷の相変化を経る「冷たい雨」と、液体のまま成長する「暖かい雨」に大別される。
- ✓「暖かい雨」の成長には、雲粒同士の衝突・合体である併合過程が不可欠である。
- ✓「冷たい雨」の形成には、氷晶が周囲の水蒸気を吸収して成長する氷晶説(ベルシェロン・フィンデセン説)が深く関わっている。
- ✓凝結核や氷晶核となるエアロゾルの存在が、雲粒や氷晶の生成に重要な役割を果たす。
降水過程(こうすいかてい、precipitation process)とは、大気中の水蒸気が凝結して雲粒となり、それが成長して雨や雪として地上に到達するまでの一連のメカニズムを指します。降水過程は、雲の中の温度環境や物理的プロセスに基づき、大きく「暖かい雨」と「冷たい雨」の二つに分類されます。
暖かい雨
「暖かい雨」とは、雲の中がすべて液体の水滴で構成され、氷の相変化を経ずに降る雨のことです。熱帯地方の層状雲や、中緯度地方の夏期に見られる積雲などで発生します。
凝結過程
空気中の水蒸気が飽和状態を超えると、エアロゾル(海塩粒子や硫酸塩など)を核として微小な水滴が形成されます。これを凝結核と呼びます。凝結成長は、周囲の水蒸気が水滴表面に拡散することで進みますが、水滴が大きくなるにつれて成長速度は鈍化するため、凝結のみで雨粒サイズ(半径約1mm)まで成長するには非常に長い時間を要します。
併合過程
雲粒同士が衝突し、合体して大きくなる過程を併合過程と呼びます。落下速度の差がある水滴同士が衝突することで効率的に成長が進みます。雲の中に半径20μm以上の大きな雲粒が存在することが、この過程が進行する重要な条件となります。
冷たい雨
「冷たい雨」は、雲の中に氷晶(氷の結晶)が含まれ、固体の状態を経て降る雨です。中緯度以上の地域で降る雨の多くはこの過程によるもので、雪や霰も同様のメカニズムで形成されます。
氷晶説(ベルシェロン・フィンデセン説)
気温0℃以下の環境では、過冷却水滴と氷晶が混在することがあります。このとき、氷の周囲の飽和水蒸気圧が水滴の周囲よりも低いという性質により、水滴が蒸発し、その水蒸気が氷晶に昇華して氷晶が急速に成長します。これを氷晶説と呼び、20世紀初頭にアルフレート・ヴェーゲナーやトール・ベルシェロンらによって解明されました。
成長と落下
成長した氷晶は、周囲の過冷却水滴と衝突して凍結させる「ライミング(霧氷成長)」や、氷晶同士がくっつき合う「併合成長」を経て雪片となります。これらが落下中に気温0℃以上の層を通過すると融解し、雨として地上に到達します。
よくある質問
「暖かい雨」と「冷たい雨」の違いは何ですか?
なぜ凝結だけでは雨粒にならないのですか?
氷晶核とは何ですか?
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参考文献
- 礒野謙治「雨」『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館。
- 三崎方郎「氷晶説」『日本大百科全書』小学館。
- 荒木健太郎『雲の物理学』、2014年。
- 小倉義光『一般気象学』、2016年。
- 岩槻秀明『図解入門 よくわかる最新気象学の基本と仕組み』、2012年。