経済学
第一次産業の定義と役割

第一次産業の基本概念、産業分類における位置づけ、およびその多面的な機能について解説します。
📌 主なポイント
- ✓第一次産業は自然界から直接資源を取得する産業を指す。
- ✓日本における第一次産業は主に農業、林業、漁業で構成される。
- ✓農林水産業は食料供給だけでなく、環境保全や国土管理などの多面的機能を持つ。
- ✓六次産業化とは、生産から加工、販売までを一体的に行う取り組みのことである。
第一次産業(だいいちじさんぎょう、英: primary sector of industry)は、経済学における3セクターモデルに基づく産業分類の一つです。一般的に、自然界に直接働きかけて資源や食料を取得する産業を指します。
産業の範囲
コーリン・クラークが提唱した古典的な分類では、農業、林業、鉱業、漁業(水産業)が第一次産業に含まれます。ただし、各国の産業分類基準によってその範囲は異なります。
日本においては、日本標準産業分類に基づき、農業・林業および漁業を第一次産業とするのが慣例であり、鉱業は含まれないことが一般的です。一方、中国など他国では分類基準が異なり、農業、林業、畜産業、漁業を第一次産業とし、鉱業を第二次産業に分類する例もあります。

多面的機能
第一次産業は、単なる食料や木材の供給源にとどまらない重要な役割を担っています。農林水産業が持つこれらの役割は「多面的機能」と呼ばれ、以下のような公益的側面が評価されています。
- 洪水や土砂崩壊の防止
- 自然環境および景観の保全
- 地域社会や伝統文化の維持
- 体験学習や教育の場としての提供
- 国境や海域環境の監視
近年の動向と課題
世界的に経済のサービス経済化が進む中で、GDPや雇用における第一次産業の割合は長期的に低下傾向にあります。これに伴い、生産性の向上や新規就業者の確保が重要な課題となっています。
また、生産者が自ら加工(第二次産業)や販売(第三次産業)までを一貫して行う「六次産業化」の取り組みも推進されています。これにより、生産物の付加価値を高め、地域経済の活性化を図る動きが各地で見られます。
よくある質問
第一次産業には何が含まれますか?
一般的には農業、林業、漁業が含まれます。なお、鉱業を第一次産業に含めるかどうかは、各国の統計基準や産業分類によって異なります。
六次産業化とは何ですか?
第一次産業の生産者が、生産(一次)だけでなく、加工(二次)や販売(三次)までを一体的に行うことで、生産物の付加価値を高める取り組みのことです。
第一次産業の多面的機能とは何ですか?
食料や木材の供給という直接的な役割以外に、洪水防止、環境保全、景観維持、地域文化の継承など、社会全体に提供される公益的な機能のことです。
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第二次産業第三次産業六次産業産業分類
参考文献
- 余金「企業データに基づく中国の第二次・第三次産業の労働生産性比較」『経済論究』第171/172巻、九州大学大学院経済学会、2022年。
- 川崎潤二他「国内の第一次産業の労働について―労働の特徴と作業の安全性―」『人間工学』第42巻、日本人間工学会、2006年。
- 鈴木朝雄「第一次産業の多面的機能」『立法と調査』第279号、参議院、2008年。