軍事技術史
ハバクック計画:第二次世界大戦における氷山空母構想

第二次世界大戦中にイギリスが検討した巨大な氷山空母「ハバクック計画」の概要、パイクリートの採用、実験、そして計画中止に至る経緯を解説します。
📌 主なポイント
- ✓ハバクック計画は、第二次世界大戦中にイギリスで考案された氷山空母の建造計画である。
- ✓船体材料として、木材パルプと水を混ぜて凍らせた「パイクリート」が採用された。
- ✓1943年にカナダのパトリシア湖で試作実験が行われたが、コストと戦局の変化により中止された。
ハバクック計画(Project Habbakuk)は、第二次世界大戦中にイギリスが検討した、氷山を利用した巨大な洋上航空基地の建造構想である。大西洋上でナチス・ドイツのUボートによる通商破壊に対抗するため、航空機の航続距離を補う移動式基地として考案された。

構想の背景と技術
この計画は、イギリスのジェフリー・N・パイクによって提案された。当初の構想では、全長約600メートル、全幅約100メートル、排水量200万トンという極めて巨大な構造物を想定していた。船体材料には、水と木材パルプを混合して凍結させたパイクリート(Pykrete)が採用された。パイクリートは通常の氷よりも融点が高く、強度に優れるという特性を持っていた。

船体内部には冷凍機室を設置し、パイクリートの融解を防ぐ冷却システムが組み込まれる予定であった。また、損傷した場合には海水を流し込んで凍結させることで修復が可能であるとされていた。計画名は、旧約聖書のハバクク書に記された「人がこの事を知らせても、あなたがたはとうてい信じまい」という一節に由来すると言われている。
実験と計画の中止
1943年、カナダのパトリシア湖において、長さ18メートル、幅9メートルの試作船を用いた実験が行われた。しかし、実用化に向けたコストの増大や、戦局の変化が計画の足かせとなった。航空機の航続距離が向上し、アイスランドの基地が活用可能になったこと、さらにレーダー技術の進歩によりUボート対策が強化されたことで、巨大な氷山空母の必要性は低下した。結果として1943年中に計画は中止され、試作船は解体された。
FAQ
- 質問:パイクリートとはどのような材料ですか?
回答:水と木材パルプを混合して凍結させた複合材料です。通常の氷と比較して強度が高く、融解しにくい性質を持っています。 - 質問:なぜ計画は中止されたのですか?
回答:建造コストが莫大であることに加え、航空機の航続距離延長やレーダー技術の向上により、氷山空母を必要とする戦略的状況が変化したためです。 - 質問:ハバクックという名称の由来は何ですか?
回答:旧約聖書の「ハバクク書」第1章5節の一節に由来するとされています。
よくある質問
パイクリートとはどのような材料ですか?
水と木材パルプを混合して凍結させた複合材料です。通常の氷と比較して強度が高く、融解しにくい性質を持っています。
なぜ計画は中止されたのですか?
建造コストが莫大であることに加え、航空機の航続距離延長やレーダー技術の向上により、氷山空母を必要とする戦略的状況が変化したためです。
ハバクックという名称の由来は何ですか?
旧約聖書の「ハバクク書」第1章5節の一節に由来するとされています。
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参考文献
- ハバクク書1章5節(日本聖書協会)
- CNN. "湖に眠る氷山空母 ハバクック計画の秘密に迫る". 2018年7月4日.