PRTR制度の概要と日本における運用
📌 主なポイント
- ✓PRTR制度は、化学物質の排出量と移動量を把握し公表することで、自主的な管理改善を促す仕組みである。
- ✓日本では1999年に制定された「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)」に基づき運用されている。
- ✓本制度は排出量そのものを直接規制するものではなく、情報公開を通じたリスク低減を目的としている。
- ✓放射性物質は他法令による規制があるため、PRTR法の対象外である。
PRTR制度(Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量届出制度)は、有害性のある化学物質が、どのような発生源から、どれくらいの量、環境中(大気、水、土壌など)へ排出されたか、あるいは廃棄物として事業所の外へ移動したかを把握し、集計・公表する仕組みです。この制度は、事業者による化学物質の自主的な管理改善を促進し、環境リスクの低減を図ることを目的としています。
日本における法制化
日本では1999年に「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(通称:PRTR法、化管法)が制定されました。この法律は、PRTR制度とSDS(安全データシート)制度の二本柱で構成されています。
制度の仕組み
PRTR法に基づき、政令で指定された化学物質を一定量以上取り扱う事業者は、その排出量および移動量を国に届け出る義務があります。対象となる事業者は、業種や従業員数などの要件を満たす必要があります。国は、事業者からの届出を集計するとともに、届出対象外の排出源(家庭、自動車、小規模事業所など)からの排出量を推計し、これらを統合して公表します。
本制度は、排出量そのものを直接規制するものではありません。しかし、行政によるデータ公表を通じて、事業者が自らの化学物質管理状況を社会的に認識し、自主的な改善を促す「社会的な圧力」を背景としたリスク低減手法をとっています。
対象外となる物質
放射性物質については、他の法令による規制が適用されるため、PRTR法の対象外となっています。また、対象物質の中には詳細なリスク評価が完了していないものも含まれていますが、これはリスクが不明な物質に対しても予防的な観点から把握を行うという方針に基づいています。
地方自治体の取り組み
国の法律に基づく制度に加え、一部の地方自治体では条例を制定し、法律よりも厳しい基準や対象範囲を広げた「上乗せ」や「横出し」の運用を行っている場合があります。また、法律上の義務を超えて、自治体独自の推計やデータ公表を行う事例も全国で見られます。
よくある質問
PRTR制度の目的は何ですか?
PRTR法は排出量を規制する法律ですか?
すべての化学物質が対象ですか?
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参考文献
- 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(環境省)
- PRTR排出量等算出マニュアル(環境省・経済産業省)