経営学
広報(パブリック・リレーションズ)の概念と役割
広報(パブリック・リレーションズ)の定義、歴史、および組織における役割について解説します。ステークホルダーとの双方向コミュニケーションを通じた関係構築の重要性を詳述します。
📌 主なポイント
- ✓広報(PR)は、組織とステークホルダーとの間で双方向のコミュニケーションを行い、望ましい関係を構築する経営機能である。
- ✓「広報」という言葉は明治初期の和製漢語であり、1872年の『横浜毎日新聞』が初出とされる。
- ✓戦後の日本において、GHQの政策を通じて双方向的なPR概念が導入され、行政分野を中心に「弘報」から「広報」への転換が進んだ。
広報(こうほう、英: public relations、略称: PR)とは、組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションを通じて、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能です。[1]
定義と概念
日本広報学会は、広報を単なる情報発信にとどまらず、組織とそれを取り巻く人間(個人・集団)との望ましい関係を創り出すための考え方および行動のあり方と定義しています。[1][2] 広告がメディアの枠を購入して情報を伝達する手法であるのに対し、広報はメディアやステークホルダーとの信頼関係を基盤としたコミュニケーションを重視する点が特徴です。
歴史的背景
「広報」という言葉は、明治時代初期に新聞広告に関連して生まれた和製漢語です。確認されている初出は、1872年(明治5年)5月9日の『横浜毎日新聞』第443号とされています。[5]
第二次世界大戦前は、情報の配信を意味する「弘報」という言葉が一般的に使用されていました。戦後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)による対日民主化政策の一環として、行政の民主的運営のための「パブリック・リレーションズ(PR)」の概念が導入されました。これに伴い、文部省などが「弘報」に代わって「広報」という表記の使用を提案し、行政機関や自治体に広報室(PRO)が設置されることで、双方向的なコミュニケーションを重視する現在の広報概念が普及しました。[3][6]
主な情報発信手段
広報活動には、以下のような多様な手法が用いられます。
- 記者会見の実施
- 記者クラブ等への資料提供
- メディアへの直接的な情報提供(FAXやメール等)
- 公式ウェブサイトを通じた情報公開
- 社内報や株主総会を通じたステークホルダーとの対話
これらの手段は、組織の活動内容をステークホルダーに正しく理解してもらうための重要なプロセスとして機能します。
よくある質問
広報と広告の主な違いは何ですか?
広告はメディアの広告枠を購入して情報を発信する手法であるのに対し、広報はメディアやステークホルダーとの信頼関係を構築し、双方向のコミュニケーションを通じて理解を深める活動を指します。
広報はどのような目的で行われますか?
組織の目的達成や課題解決のために、従業員、株主、消費者などのステークホルダーと良好な関係を構築・維持することを目的としています。
「弘報」と「広報」の違いは何ですか?
「弘報」は戦前によく使われた言葉で、主に情報の配信(一方向)を意味していました。戦後、民主的な運営を目的とした双方向的なPR概念が導入される過程で、「広報」という表記が定着しました。
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参考文献
- 日本広報学会 新たな広報概念の定義プロジェクト (2023) 「広報の定義と解説」
- 駒橋恵子 「パブリックリレーションズとは」 日本パブリック・リレーションズ協会
- 水野由多加 (2000) 「占領期における『パブリック・リレーション』概念の日本への導入と広告業」 日本広報学会
- 北野邦彦 (2008) 「広報・弘報・PRの語源に関する一考察」 帝京社会学