流体機械

ポンプの機構と動作原理による分類

ポンプの機構と動作原理による分類
ポンプの動作原理に基づく分類について解説します。非容積形(ターボ形)ポンプ、容積ポンプ、特殊ポンプのそれぞれの特徴や用途を詳細に網羅しています。

📌 主なポイント

  • ポンプは動作原理に基づき、非容積形(ターボ形)、容積形、特殊ポンプに大別される。
  • 軸流ポンプは低揚程・大流量に適しているが、キャビテーションへの注意が必要である。
  • 歯車ポンプやねじポンプなどの回転ポンプは、高粘度液体の輸送に広く活用されている。
  • 水撃ポンプは外部動力を必要とせず、水撃作用を利用して液体を高い位置へ汲み上げる。

ポンプは、液体や気体を移動させたり圧力を加えたりするための流体機械です。その動作原理や機構によって、大きく非容積形(ターボ形)ポンプ、容積ポンプ、および特殊ポンプに分類されます。それぞれの形式により、適した揚程、流量、流体の性質が異なります。

非容積形(ターボ形)ポンプ

羽根状の回転子であるインペラーを使用して流体にエネルギーを与える方式のポンプです。代表的なものとして遠心ポンプ、軸流ポンプ、斜流ポンプなどが挙げられます。

軸流ポンプ

軸方向に液体を吐き出す形式のポンプであり、低揚程および大流量の用途に適しています。斜流ポンプと比較してケーシングを小さく設計できるため経済的ですが、低流量や高揚程での運転には適していません。また、吸込性能が他の形式に比べてやや劣るため、キャビテーションの発生に注意が必要です。

斜流ポンプ

斜め方向に液体を吐き出すポンプで、遠心ポンプと軸流ポンプの中間的な特性を持ちます。渦巻き斜流ポンプとディフューザ斜流ポンプに大別され、下水道の汚水や河川・雨水の排水処理などに広く用いられています。

容積ポンプ

ケーシング内の容積を周期的に変化させたり、回転部品によって物理的に密閉空間を移動させたりして流体に圧力を与える方式です。

回転ポンプ

回転する部品の組み合わせによって流体を送る形式です。

  • 歯車ポンプ: 歯車のかみ合わせを利用し、粘度の高い液体の輸送に適しています。内接式のトロコイドポンプなどはエンジンのオイルポンプとして一般的です。
  • ねじポンプ: ねじ型のローターを持ち、汚泥など高粘度で異物を含む流体の輸送に用いられます。
  • ベーンポンプ: 偏心した回転子に取り付けられた可動ベーンで液体を運びます。自動車のパワーステアリング用ポンプなどに採用されています。
ギアポンプの構造と動作を示すアニメーション
ギアポンプ
ねじポンプの構造と動作を示すアニメーション
ねじポンプ

往復ポンプ

ピストンやプランジャー、ダイヤフラムなどの往復運動によって流体を輸送する形式です。

  • ダイヤフラムポンプ: ダイヤフラムのたわみによる容積変化を利用し、液体を攪拌せずに定容積で送り出すことができます。薬品の注入などに適しています。
  • ピストンポンプおよびプランジャーポンプ: 往復運動によって高圧を発生させる形式です。手動による手押しポンプなどもこの範疇に含まれます。
手押しポンプの上下動による吸い上げ機構を示すアニメーション
手押しポンプの動き

特殊ポンプ

通常のターボ形や容積形とは異なる固有の物理現象や特殊な機構を利用したポンプです。

  • 気泡ポンプ(エアリフトポンプ): 気体を吹き込んで発生させた気泡の浮力を利用して液体を汲み上げる方式です。
  • 噴射ポンプ(エジェクタ・インジェクタ): 高速の流体を吹き込むことで周囲の流体や粉体を巻き込んで輸送します。内部に可動弁などの機械的な摩耗部品がないという特徴があります。
  • 水撃ポンプ: 管内を流れる液体の水撃作用(ウォーターハンマー)を利用し、外部動力なしで位置エネルギーのみで一部の液体をより高い位置へくみ上げます。
  • 水封式ポンプ: ケーシング内の液体とインペラーの回転による遠心力で液面と回転子の間に密閉空間を作り、気体を吸引する真空ポンプとして利用されます。

よくある質問

軸流ポンプの主な用途は何ですか?
低揚程かつ大流量の条件に適しており、主に河川の排水ポンプなどに適しています。
歯車ポンプはどのような液体の輸送に向いていますか?
歯車のかみ合わせを利用するため、粘度の高い液体の輸送に適しています。エンジンのオイルポンプなどにも使われます。
水撃ポンプの特徴は何ですか?
水撃作用と位置エネルギーのみを利用するため、人力や発動機といった外部動力を一切必要とせずに動作します。

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参考文献

日本語版Wikipedia「ポンプ」項目の記述および関連流体工学資料に基づく。