化学・水処理技術

純水:定義、製造方法および産業的用途

純水とは不純物を極限まで取り除いた高純度の水です。その定義、主な製造プロセス(蒸留、イオン交換、逆浸透膜など)、および半導体製造や医療などの産業分野における重要性を解説します。

📌 主なポイント

  • 純水とは、イオンや微粒子などの不純物を高度に除去した水のことである。
  • 純度の指標として、比抵抗(比電気抵抗)や導電率が用いられる。
  • 主な製造技術には、蒸留、イオン交換、逆浸透膜(RO)、EDI(電気再生式イオン交換)がある。
  • 半導体製造などの高度な用途では、純水よりもさらに純度の高い「超純水」が使用される。

純水とは、不純物をほとんど含まず、高い純度に精製された水のことです。自然界に存在する水(水道水、地下水、河川水など)には、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分、残留塩素、有機物、微粒子、溶存ガスなどが含まれています。純水は、これらの不純物を物理的・化学的な手法を用いて除去した状態を指します。

純水の定義と性質

純水は、その純度を電気伝導率や比抵抗(比電気抵抗)で評価するのが一般的です。水分子は極性を持つため、イオンなどの不純物が溶け込みやすい性質があります。完全に純粋な水の理論上の比抵抗は、25℃において18.24MΩ・cm(導電率に換算して0.0548μS/cm)です。一般的に、1〜10MΩ・cm程度の範囲のものが純水と呼ばれ、それ以上の純度を持つものは超純水として区別されます。

主な製造方法

純水を得るためには、目的に応じて複数の処理工程を組み合わせるのが一般的です。主な製造技術には以下のものがあります。

  • 蒸留法:水を加熱して蒸気とし、それを冷却して凝縮させることで不純物を分離します。古くからある手法ですが、エネルギー消費が大きく、コストが高くなる傾向があります。
  • イオン交換法イオン交換樹脂を用いて、水中の陽イオンや陰イオンを水素イオンや水酸化物イオンと置換します。高い除去率を誇りますが、樹脂の定期的な再生や交換が必要です。
  • 逆浸透膜(RO)法:半透膜に圧力をかけて水を透過させ、イオンや微粒子、有機物を除去します。他の方式と組み合わせて使用されることが多く、現代の純水製造において中心的な役割を果たしています。
  • EDI(電気再生式イオン交換)法:イオン交換膜とイオン交換樹脂を組み合わせ、電気エネルギーを用いて連続的にイオンを除去します。薬品による再生が不要で、連続運転に適しています。

産業における用途

純水は、不純物による悪影響を避ける必要がある幅広い分野で使用されています。

  • 電子産業:半導体や液晶パネルの製造工程では、極微量の不純物も製品の欠陥につながるため、極めて高い純度の超純水が不可欠です。
  • 化学・生物学実験:実験器具の洗浄や試薬の調製において、不純物による反応阻害や汚染を防ぐために使用されます。
  • 工業用ボイラー・設備:配管内での水垢(スケール)の発生を防ぎ、閉塞や伝熱効率の低下を回避するために利用されます。
  • 医療・医薬品:日本薬局方に定められた「精製水」など、医薬品の製造や医療用器具の洗浄に用いられます。
  • その他:自動車の洗車(水垢防止)、コンタクトレンズの洗浄液、ブラックボックスの回収時の洗浄など、多岐にわたります。

よくある質問

純水と水道水の違いは何ですか?
水道水には殺菌のための残留塩素や、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル分が含まれていますが、純水はこれらの不純物を除去・低減した水です。
純水は飲用できますか?
純水は工業的・科学的な用途を想定して製造されており、ミネラル分を含まないため、日常的な飲料水としての栄養補給には適していません。
超純水とは何ですか?
純水の中でも、特にイオンや微粒子、有機物などを極限まで取り除いた、半導体製造や高度な分析に使用される非常に純度の高い水のことです。

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参考文献

  • 日本薬局方
  • 純水・超純水 情報サイト(オルガノ株式会社)
  • 純水ポータル(メルク株式会社)