物理学
量(物理学・計量学)の概念と定義

物理学や計量学における「量」の定義、分類、および計量法における物象の状態の量について解説します。
📌 主なポイント
- ✓量は数値と単位(計量参照)の積として表現される。
- ✓離散量は整数値に対応し、連続量は実数値に対応する。
- ✓日本の計量法では、重要な89の事象を「物象の状態の量」として規定している。
- ✓物理量は、一定の理論体系の下で次元が確定し、単位の倍数として表せる量である。
「量」(英: quantity)とは、一般に測定の対象となる大きさや多寡を指す概念です。科学や計量学の文脈では、現象、物体、または物質が持つ属性のうち、定性的に区別でき、かつ定量的に決定できるものを指します。
定義と性質
日本産業規格(JIS Z8000規格群)では、量を「数と計量参照との組合せとして表すことができる大きさをもつ、現象、物体又は物質の性質」と定義しています。測定可能な量は、数値と単位(計量参照)の積として表現されます。
量は主に「スカラー量」として扱われることが一般的であり、その性質や数学的扱いによって以下のように分類されます。
離散量と連続量
物象の状態の量
日本の計量法では、取引や証明、産業、学術などの分野で重要な役割を果たす事象を「物象の状態の量」として89項目列挙しています。これらは、計量単位が確立されている「典型72量」と、計量単位が個別に定義される「17の量」に大別されます。
典型72量の例
長さ、質量、時間、電流、温度、物質量、光度などが含まれ、これらは国際単位系(SI)に基づいた測定が求められます。
その他の量
繊度、比重、硬度、湿度など、特定の測定手順や定義が必要な量がこれに含まれます。
量体系と尺度
量体系(system of quantities)とは、量を関係付ける矛盾のない方程式の集合を指します。物理科学において広く受け入れられているものとして国際量体系(ISQ)があります。
また、統計学や測定理論の観点からは、尺度の水準によって以下のように分類されます。
- 順序尺度: 硬度やリッカート尺度のように、順序関係は確立できるが、差や比に物理的意味を持たないもの。
- 間隔尺度・比率尺度: 差や比に物理的意味を持ち、定量的な演算が可能なもの。
加法性と示量性
熱力学などの分野では、加法性が成り立つ量を「示量性(extensive)の量」と呼び、質量や体積がこれに該当します。一方、温度や圧力のように加法性が成り立たない量は「示強性(intensive)の量」と呼ばれます。
よくある質問
「量」と「物理量」の違いは何ですか?
「量」はより広範な概念であり、測定可能な属性全般を指します。一方「物理量」は、物理学の理論体系において次元が確定し、定められた単位を用いて客観的に測定可能な量を指します。
離散量と連続量の違いは何ですか?
離散量は個数のように分割できない最小単位を持つ量(整数対応)であり、連続量は長さや時間のように最小単位がなく、実数値で表される量です。
物象の状態の量とは何ですか?
日本の計量法において、取引や証明、産業などで計量が必要とされる重要な89の物理的属性を指します。
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参考文献
- JIS Z8000-1 量及び単位-第1部:一般
- JIS Z8103 計測用語
- 計量学-早わかり 第3版(産総研 計量標準総合センター)
- 岩波理化学辞典 第5版
- 遠山啓『量とはなにか』