言語学

引用符の体系と各言語における用法

引用符(クォーテーションマーク)の定義、各言語における表記体系、およびUnicodeやJIS規格における分類を解説します。

📌 主なポイント

  • 引用符は言語や地域によって、曲線型、屈曲型、鉤括弧など多様な形式が存在する。
  • 日本語では鉤括弧(「」)および二重鉤括弧(『』)が標準的な引用符として用いられる。
  • フランス語圏では「ギユメ(«…»)」と呼ばれる屈曲型の記号が伝統的に使用される。
  • コンピュータ環境では、歴史的なアポストロフィー(')ではなく、適切なUnicode文字を使用することが推奨される。

引用符(いんようふ、英: quotation marks)は、文章中で引用箇所や特定の語句を強調するために用いられる約物の一種です。言語や地域、縦書き・横書きの慣習によって、使用される記号の形やルールは大きく異なります。

欧米諸国における引用符

英語圏をはじめとする多くの言語では、曲線型の引用符が一般的に用いられます。これらは開始記号と終了記号が区別されることが多く、Unicodeではそれぞれ個別のコードポイントが割り当てられています。

英語圏

英語では、二重引用符(“…”)を引用や会話の明示に使用し、引用の中の引用には単一引用符(‘…’)を用います。また、会話の中で引用符を指先で示す動作は「エアクオート」と呼ばれます。

フランス語・ポーランド語・ロシア語

フランス語などでは「ギユメ(guillemets)」と呼ばれる屈曲型の記号(«…»)が伝統的に使用されます。これはフランスの印刷業者ギョーム(Guillaume)の名に由来するとされています。

ドイツ語・デンマーク語・オランダ語

ドイツ語やデンマーク語では、下付きの開始記号(„…“)を用いる独特の形式が一般的です。オランダ語やポーランド語では、開始記号に下付き、終了記号に上付きの記号を組み合わせる形式が見られます。

日本語および東アジアの引用符

日本語では、縦書き・横書きを問わず「鉤括弧(「」)」および「二重鉤括弧(『』)」が標準的に使用されます。これらは日本の出版物や公用文における基本的な引用の形式です。

中国語・朝鮮語の表記

中国語(簡体字)では、横書きにおいて英語式のダブルクォート(“”)を使用し、作品名などには二重山括弧(《》)を用いるのが一般的です。朝鮮語(韓国)では、英語式のダブルクォート(“”)が主流であり、書名には『』を用いる慣習があります。北朝鮮では二重山括弧(《》)が規範として定められています。

特殊な字形と技術的注意

日本語の縦書きにおいて、ダブルクォートの代用として「〝…〟(ダブルミニュート)」が使われることがあります。これは「ひげカッコ」や「ちょんちょん」とも呼ばれ、新聞記事などで鉤括弧の中の引用を示す際に用いられます。コンピュータ上では、歴史的な経緯からアポストロフィー(')が引用符として混同されることがありますが、現代のデジタル環境では、用途に応じた適切なUnicode文字を使用することが推奨されています。

よくある質問

エアクオートとは何ですか?
英語圏の会話において、引用符で囲むべき箇所を強調するために、両手の人差し指と中指を曲げて空中に引用符の形を描く動作のことです。
日本語の縦書きで「ちょんちょん」と呼ばれる記号は何ですか?
ダブルミニュート(〝…〟)のことです。新聞などで鉤括弧の中の引用を示す際などに用いられます。
中国語の横書きではどのような引用符を使いますか?
原則として英語式のダブルクォート(“”)を使用します。また、作品名などには二重山括弧(《》)を用いるのが一般的です。

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約物括弧Unicode日本語の表記体系

参考文献

  • JIS X 0213:2012 7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化文字集合
  • 中華人民共和国国家標準 GB/T 15834-2011『標点符号用法』
  • 大韓民国 国立国語院『ハングル正書法』