計測機器
放射温度計の仕組みと測定原理

放射温度計の基本原理、赤外放射温度計とパイロメーターの違い、および測定における放射率の影響について解説します。
📌 主なポイント
- ✓放射温度計は、物体から放出される赤外線や可視光線の強度を測定する非接触型の温度計である。
- ✓測定精度は対象物の放射率に依存し、表面状態に応じた補正が必要となる場合がある。
- ✓パイロメーターは、主に高温物体の色温度を測定するために使用される。
放射温度計は、物体から放射される赤外線や可視光線の強度を測定することで、その物体の表面温度を非接触で算出する計測機器です。熱伝導を必要としないため、移動中の物体や高温物体、あるいは触れることができない対象の温度を短時間で測定できる利点があります。

測定の物理的背景
放射温度計の測定原理は、物体の熱放射に基づいています。すべての物体はその温度に応じたエネルギーを電磁波として放射しており、これを黒体放射と呼びます。温度と放出エネルギーの関係は、シュテファン=ボルツマンの法則やプランクの法則によって定義されており、これらの物理法則を用いることで対象物の温度を推定することが可能です。
赤外放射温度計
赤外放射温度計は、比較的低温から中温領域の物体が放出する赤外線を検出し、表面温度を測定する装置です。測定において重要な要素となるのが「放射率」です。放射率は物体表面の状態によって異なり、黒体は1.0ですが、金属光沢のある表面では低く、セラミックやゴムなどは高い値を示す傾向があります。放射率の補正が不十分な場合、測定値に誤差が生じるため、必要に応じて熱電対など他の温度計で校正を行うか、黒体塗料を塗布して放射率を安定させる手法がとられます。
パイロメーター(高温計)
パイロメーターは、主に白熱状態にある高温物体の温度を測定するために用いられる機器です。ウィーンの変位則に基づき、可視光線の波長変化(色温度)を利用して温度を算出します。主に溶融金属の温度管理や窯業など、1000Kを超えるような高温環境下での測定に適しています。
よくある質問
なぜ放射温度計は非接触で測定できるのですか?
物体が温度に応じて放出する赤外線や光をセンサーで捉えるため、対象物に直接触れる必要がないからです。
放射率とは何ですか?
物体が理想的な放射体である「黒体」と比較して、どれだけ効率的に熱放射を行っているかを示す係数です。物質の種類や表面の状態によって異なります。
金属の測定で誤差が出やすいのはなぜですか?
金属は一般的に放射率が低く、周囲の熱源からの反射光の影響を受けやすいため、表面状態によっては正確な温度測定が困難になることがあります。
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参考文献
- 日本工業規格 JIS Z 8726 放射温度計の性能試験方法
- 計測自動制御学会 計測用語辞典