放射性廃棄物の海洋投棄と国際的規制

📌 主なポイント
- ✓1993年にロンドン条約により、すべての放射性廃棄物の海洋投棄が全面的に禁止された。
- ✓1946年から1993年までの間に、13カ国が合計約8.5×10^16ベクレルの放射性廃棄物を海洋へ投棄した。
- ✓日本は1955年から1969年の間に、伊豆諸島近海などで計15回の海洋投棄を実施した実績がある。
放射性廃棄物の海洋処分は、かつて多くの国で実施されていた手法であり、主に「海洋投棄」と「沿岸放出」に分類されます。海洋投棄は、ドラム缶などの容器に封入した廃棄物を深海へ沈める行為を指し、沿岸放出は、管理された液体廃棄物を希釈・拡散させる手法を指します。
海洋投棄の歴史と背景
核開発の初期段階において、廃原子炉や使用済み核燃料を含む放射性廃棄物が海洋へ投棄されました。1946年のアメリカによる北東太平洋への投棄を皮切りに、1993年に全面禁止されるまで、日本を含む13カ国が海洋投棄を実施しました。IAEAの報告によると、この期間に投棄された放射能の総量は約8.5×1016ベクレル(Bq)と推定されています。

特に旧ソ連とイギリスによる投棄が全体の大部分を占めており、北極海、大西洋、太平洋の各海域で実施されました。北極海では、旧ソ連が原子炉を含む廃棄物を大量に投棄した記録が残っています。

国際的な規制とロンドン条約
海洋投棄による環境汚染への懸念から、1972年に「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」(ロンドン条約)が締結されました。同条約は段階的に規制を強化し、1975年の改定で高レベル放射性廃棄物の投棄を禁止、1993年にはすべての放射性廃棄物の海洋投棄が全面的に禁止されました。
1993年にロシアによる日本海への放射性廃棄物投棄が発覚したことは、国際的な批判を招き、この全面禁止を決定づける契機となりました。その後、1996年のロンドン条約議定書により、海洋投入は厳格に規制されています。
日本における実績
日本は1955年から1969年にかけて、伊豆諸島近海などで計15回の海洋投棄を実施しました。投棄された廃棄物はモルタル詰めされた金属容器で、放射能総量は約15.1テラベクレル(TBq)と報告されています。現在、日本は海洋投棄を行っておらず、将来的な計画も存在しません。
不法投棄の問題
正規の国家プロジェクト以外にも、犯罪組織による不法投棄が問題視されています。特にイタリアでは、マフィア組織「ンドランゲタ」が、放射性廃棄物を船ごと沈めるなどの方法で地中海やインド洋へ不法投棄していた疑いが持たれています。2004年のスマトラ島沖地震の際には、ソマリア沿岸に不法投棄されたとみられる廃棄物が打ち上げられ、国際的な問題となりました。
よくある質問
放射性廃棄物の海洋投棄は現在も行われていますか?
日本は過去に海洋投棄を行っていましたか?
なぜ海洋投棄が禁止されたのですか?
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参考文献
- IAEA (International Atomic Energy Agency) 報告書
- ロンドン条約(廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約)
- 日本原子力研究所 (JAERI) 調査報告書 (JAERI-Research 96-049)