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鉄道用移動変電所の概要と歴史
📌 主なポイント
- ✓移動変電所は、変電所の点検や昇圧工事時の電力供給を補完するために使用された。
- ✓初期の車両は水銀整流器を使用していたが、後にシリコン整流器の採用により小型軽量化が進んだ。
- ✓MS3001・3002はシリコン整流器を搭載し、1992年まで運用された。
鉄道用移動変電所は、変電所の点検や昇圧工事に伴う機能代行、あるいは多客時の電力需要増加に対応するために導入された、車両に搭載された変電設備です。固定式の変電所が整備されるまでの過渡期や、特定の区間での電力不足を補うために重要な役割を果たしました。
技術的構成と運用
移動変電所は、一般的に開閉器、変圧器、整流器などの主要機器を貨車やトレーラーに分載して構成されます。初期の車両では水銀整流器が使用されていましたが、技術の進歩により、後の車両では小型軽量なシリコン整流器が採用されるようになりました。これにより、保守の容易化や装置の小型化が実現しました。
代表的な形式
日本の鉄道史において、いくつかの特徴的な車両が製造されました。
- MS1501・1502:1954年に三菱電機伊丹製作所で製造。水銀整流器を搭載し、南海本線・高野線の昇圧工事に伴う電力供給を支えました。
- MS3001・3002:1968年製造。シリコン整流器を搭載し、保守性の高さから長期間運用されました。1992年まで使用され、この種の車両としては比較的長く活躍しました。
- イヘ901・911:連接車構造を採用した車両で、大容量の変圧器や液冷式イグナイトロン整流器を搭載していました。
これらの車両は、機器の故障や老朽化、あるいは固定式変電所の整備完了に伴い、順次除籍・解体されました。一部の車両は、除籍後も常設変電所として側線上に留置され、役割を終えるまで使用された例も存在します。
よくある質問
移動変電所はどのような目的で使用されましたか?
固定式変電所の点検時や昇圧工事に伴う機能代行、および多客時などの電力需要増加に対応するために使用されました。
なぜシリコン整流器への転換が重要だったのですか?
シリコン整流器は水銀整流器と比較して小型軽量であり、保守が容易であったため、移動変電所の運用効率を大きく向上させました。
参考文献
- 関西電力横大路変電所(京都市伏見区)から自社の伏見変電所経由で三相交流22kVを受電。
- 同じく関西電力横大路変電所から自社の伏見変電所経由で三相交流22kVを受電。
- 関西電力香里変電所および牧野変電所から自社の枚方変電所経由で三相交流22kVを受電。
- なお、八幡町周辺には太平洋戦争前から大阪寄りの橋本に橋本変電所が設置されていたが、この移動変電所の導入後、列車運行本数の増加と長大編成化(京阪では1967年(昭和42年)12月より列車の7両編成化を開始している)に対応して1960年代に京都寄りの淀へ隣接して淀変電所(2,500kW)が追加設置されている。ただし、以後も1983年(昭和58年)12月の昇圧までは多客期の移動変電所稼働が続けられた。
- 軸距1,650mm。
- 「ハンドブック」pp.384-385
- 「ハンドブック」pp.385-386
- 以下、各形式の諸元は「発達史6」pp.160-162による。
- 「マニュアルIV」p.33
- RP716 p.241
- 「マニュアルIV」pp.32-33
- 「マニュアルIV」p.32
- 「日立評論59/2-2」p.15
- 「京阪竣工図」p.105
- RP281 p.107
- 「日立評論59/2-2」p.17
- 「発達史1」p.168
- 「日立評論59/2-2」p.12
- RP695 p.162
- RP553 p.201
- RP382 p.53
- RP553 p.198
- 以下、イヘ901・911の機器仕様は「ハンドブック」p.383の記述による。
- 「マニュアルIV」p.30
- 台車および車体構造については「蒸気機関車から超高速車両まで 写真で見る兵庫工場90年の鉄道車両製造史」p.294掲載のメーカー公式写真による。
- 「私鉄の車両 2 小田急電鉄」p.123
- アーカイブス1 pp.40,58-59,61-62,70,78
- RP546 p.130