化学・資源

希土類元素(レアアース)の性質・分類と産業上の重要性

希土類元素(レアアース)の性質・分類と産業上の重要性
スカンジウム、イットリウムおよびランタノイドの計17元素の総称である希土類元素(レアアース)について、その定義、分類、産業用途、および産地の動向を解説します。

📌 主なポイント

  • 希土類元素(レアアース)は、スカンジウム、イットリウム、およびランタノイド15元素の計17元素の総称である。
  • 地殻中の存在量は必ずしも少なくないが、単離・精製が技術的に難しいためレアメタルに分類されている。
  • ネオジム磁石や蛍光体、研磨材、二次電池の原料など、現代のハイテク産業において不可欠な材料として利用されている。

希土類元素(きどるいげんそ、英: rare-earth elements・REE)またはレアアースは、31鉱種あるレアメタルの中の一分類であり、スカンジウム(原子番号21)、イットリウム(原子番号39)の2元素と、ランタン(原子番号57)からルテチウム(原子番号71)までの15元素(ランタノイド)を合わせた計17元素の総称である。周期表においては、第3族のうちアクチノイドを除く第4周期から第6周期までに位置している。

名称の由来は、比較的希な鉱物から得られた酸化物からこれらを分離したことに端を発するが、地球の地殻における存在量は金や銀などの貴金属に比べて豊富であり、セリウムなどは銅に匹敵する量が存するとされる。一方で、個々の元素を単体として分離・精製することが極めて困難であるため、経済的・技術的な意味で希少な金属として扱われている。

分類

希土類元素は、化学的性質が互いによく似ている点が特徴である。スカンジウムおよび天然に存在しないプロメチウムを除き、ゼノタイムやイオン吸着鉱などの同一鉱石中に共存して産出することが多く、単体分離の難しさから混合物であるミッシュメタルとして利用されることもある。

ランタノイドに属する15元素のうち、ガドリニウムよりも原子量が小さいランタンからユーロピウムまでを希土類元素(LREE)、ガドリニウムからルテチウムまでを重希土類元素(HREE)と呼ぶ。また、中間の元素群を中希土類と称することもある。

主な用途

希土類元素は、電子配置の特異性に基づく物理的性質や、独自の化学的性質を利用して、現代のエレクトロニクスや環境配慮型技術に不可欠な材料として広く用いられている。

  • 磁石・磁性体材料:ネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石などの強力な永久磁石として、モーターやスピーカーなどに使用される。ジスプロシウムなどは耐熱性を向上させる添加剤として用いられる。
  • 蛍光体・発光材料:ブラウン管、蛍光灯、LEDなどの発光・蛍光材料として、イットリウム、テルビウム、ユウロピウムなどが使われる。
  • 研磨材:ディスプレイやハードディスクのガラス基板加工において、酸化セリウム系研磨材が利用される。
  • 触媒・合金:石油精製触媒や自動車の排気ガス浄化触媒、またニッケル水素充電池の水素吸蔵合金(ミッシュメタル)などに活用されている。

産地と資源の動向

希土類元素の鉱床は世界各地に存在するが、採掘や精製コスト、環境規制などの要因により生産国には偏りがみられた。歴史的には中国が世界の生産量の大部分を占める時期が続き、輸出管理や外交上の懸念材料となることもあった。これに対し、米国(マウンテンパス鉱山など)やオーストラリア、インド、ベトナムなどでの生産再開・拡大が進められているほか、日本周辺の海洋における調査(南鳥島沖の希土類泥の発見など)をはじめとする新たな供給源の探索や、リサイクルおよび代替技術の開発が進められている。

よくある質問

希土類元素(レアアース)とは何ですか?
スカンジウム、イットリウム、およびランタノイドに属する15元素を合わせた計17元素の総称です。化学的性質が似ており、現代の電子機器やモーターなどに広く使われています。
「レア」と呼ばれる理由は何ですか?
地殻に存在する絶対量は貴金属よりも豊富ですが、鉱石から個々の元素を分離・精製する技術が非常に難しく、供給が限られるため「希少(レア)」とされています。
軽希土類と重希土類の違いは何ですか?
ランタノイドの中で、ガドリニウムよりも原子量が小さい元素(ランタンからユーロピウムまで)を軽希土類元素、それより重い元素(ガドリニウムからルテチウムまで)を重希土類元素と呼びます。

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参考文献

  • JOGMEC 金属資源情報 「レアアースの通説 正と誤」
  • 経済産業省 資源エネルギー庁関連資料