言語学

容認発音(RP):イギリス英語の標準的な発音体系

容認発音(Received Pronunciation, RP)の歴史、定義、および現代における社会的地位について解説します。イギリス英語の伝統的な標準発音としての特徴をまとめました。

📌 主なポイント

  • 容認発音(RP)は、イギリス英語における伝統的な標準発音の呼称である。
  • 用語は音声学者のダニエル・ジョーンズによって定義・普及された。
  • かつてはBBCのアナウンサーや上流階級の発音として社会的地位を象徴していた。
  • 現代では地域方言の地位向上や河口域英語の普及により、その使用範囲は変化している。

容認発音(ようにはつおん、英語: Received Pronunciation、略称: RP)は、イギリス英語における伝統的な事実上の標準発音を指す言語学用語です。かつてはイングランド南部の教養ある階層や、公共放送であるBBCのアナウンサーが用いる発音として広く認識されていました。

歴史と定義

「容認発音」という用語は、音声学者のダニエル・ジョーンズによって広められました。ジョーンズは当初、パブリックスクールで教育を受けたイングランド南部出身者の階級方言を指す「Public School Pronunciation(PSP)」を提唱していましたが、後にロンドンで大学教育を受けた上流階級の発音を指すものとして「Received Pronunciation」と定義し直しました。この発音は「キングズ・イングリッシュ」や「クイーンズ・イングリッシュ」とも呼ばれ、長らくイギリス社会における社会的地位や教養の象徴とされてきました。

現代における変化と現状

20世紀後半以降、イギリス社会の変容とともにRPの地位も変化しています。1960年代以降、地域独自の方言の地位が向上し、BBC放送においてもRP以外の発音が広く受け入れられるようになりました。現在、伝統的なRPを話す人口はイギリス全体のごく一部に留まるとされています。また、1980年代頃からは、ロンドン周辺で話される「河口域英語(Estuary English)」が、RPに代わる新たな標準語としての影響力を強めているという指摘もあります。

教育と社会的側面

RPは長年、外国人が英語を学習する際のモデルとして採用されてきました。かつては教師、医師、弁護士など、高い信頼性が求められる職業に就くためには、RPを身につけることが推奨される傾向がありました。一方で、RPは「気取っている」という印象を与える場合もあり、あえて地域的な方言を維持する例も存在します。現代のRPは固定されたものではなく、時代とともにその音価も緩やかに変化し続けています。

よくある質問

容認発音(RP)は現在でもイギリスの標準語ですか?
伝統的な標準発音としての地位はありますが、現代のイギリスでは地域方言や河口域英語など、多様な発音が広く受け入れられており、RPのみが唯一の標準という状況ではありません。
なぜ「容認」という名前なのですか?
「Received」には「広く認められた」「社会的に受け入れられた」という意味があり、教養ある階層に共通する発音として社会的に容認されていたことに由来します。
RPを学習する必要はありますか?
英語学習のモデルとしてRPは依然として有用ですが、現代の英語圏では多様なアクセントが存在するため、コミュニケーションの目的や相手に合わせて柔軟に理解することが推奨されます。

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参考文献

  • 寺澤盾『英語の歴史 過去から未来への物語』中央公論新社、2008年。
  • 大塚高信、中島文雄(監修)『新英語学事典』研究社、1982年。
  • 石橋幸太郎(編集代表)『現代英語学辞典』成美堂、1973年。
  • 大英図書館「Received Pronunciation」