世界の冷暖房・空気調和設備の地域特性と技術方式

📌 主なポイント
- ✓空気調和設備は、人に対する保健空調と物品に対する産業空調に大別される。
- ✓アメリカではダクトを用いたHVAC(セントラル空調)が広く利用されている。
- ✓熱輸送方式には、全空気方式、水・空気方式、水方式、冷媒方式がある。
空気調和設備(くうきちょうわせつび)は、建物内の温度・湿度・空気清浄度などの室内環境を目的や用途に応じて調整するための建築設備である。一般には空調設備と呼ばれ、人に対する空気調和を保健空調(対人空調)、物品の製造や保管環境を対象とするものを産業空調(プロセス空調)と分類する。
現代の建築物においては、高層化や高気密化が進むとともに、地球温暖化に伴う外気の影響や、OA機器の普及による内部発熱の増加によって、従来の単純な冷暖房方式では適切な室内環境の維持が困難になりつつある。そのため、用途や建物規模に応じた多様な設備設計が行われている。

地域の気候、土地事情、建築様式、法規制などによって、冷暖房の形態や普及している技術は大きく異なる。
地域ごとの冷暖房事情

日本
北海道などの寒冷地を除き、家全体を一括して空調するセントラルヒーティングや全館空調の普及率は比較的低く、各部屋ごとに冷暖房兼用のルームエアコンや暖房器具を個別設置する方式が主流である。家庭用エアコンの室内機としては、壁掛型が広く用いられている。
韓国
古来よりオンドルと呼ばれる床暖房システムが用いられてきた歴史的背景があり、家庭用エアコンは冷房機能を主眼とした機器が多く見られる。人口密度が高く一戸建てよりも集合住宅(マンション)が多いため、室外機の設置場所が限られる場合があり、床置型の室内機も利用されている。

また、微小粒子状物質(PM2.5など)による大気汚染対策として、空気清浄機能を搭載したエアコンが多いことも特徴である。
アメリカ
HVAC(Heating, Ventilation and Air Conditioning)と呼ばれるセントラル空調システムが広く普及している。地下室やランドリールームなどに大型の熱交換器や送風機を設置し、ダクトを介して家全体を常時空調する仕組みが一般的である。

近年ではスマートサーモスタットの導入によるゾーンごとの風量・温度調節や、スマートホームシステムとの連携も進んでいる。
欧州
従来は暖房設備が中心であったが、近年の気候変動による酷暑の影響で冷房需要が急増している。しかし、景観条例による規制や冷媒配管を扱う施工業者の不足などから室外機の設置が難しく、窓枠取り付け型の冷房機器などが利用されるケースもある。

熱輸送方式による分類
空気調和設備は、熱を室内に運ぶ媒体(熱輸送方式)によっていくつかの種類に大別される。
- 全空気方式:ダクトを用いて空気のみで熱を輸送する中央式システム。劇場や体育館などの大空間に適しており、外気冷房や全熱交換器による省エネルギー制御が容易である。
- 水・空気方式:水と空気を併用して熱を輸送する方式。ファンコイルユニットと単一ダクトを併用する形態などがあり、ダクトスペースを小さく抑えられる。
- 水方式:水のみを熱媒体として利用する方式。ダクトスペースが不要となる一方で、換気には別途換気扇や全熱交換器が必要となる。
- 冷媒方式:冷媒配管を用いるエア・コンディショナーが代表例である。個別の温度制御が容易で省エネルギー性に優れることから、小型の建物だけでなく大規模ビルでの採用事例も増えている。
よくある質問
空気調和設備とは何ですか?
全空気方式の特徴は何ですか?
アメリカの空調の特徴は何ですか?
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参考文献
- 韓国のエアコン事情 - 一般社団法人日本エアコンクリーニング協会
- アメリカで主流のセントラル空調ーそのメリットとデメリットとは - ダクト製造・販売のフカガワ
- 酷暑の欧州でエアコンが極端に少ない理由 - CNN.co.jp