安全工学・リスクマネジメント

ISO規格におけるリスクアセスメントのプロセスと技法

ISO規格に基づくリスクアセスメントの定義、リスク特定・分析・評価の各プロセス、および代表的な手法について詳しく解説します。

📌 主なポイント

  • リスクアセスメントは、ISO規格において「リスク特定」「リスク分析」「リスク評価」の3つのプロセスを網羅した総称である。
  • リスク特定は、リスクの原因や発生状況を発見し記述するプロセスであり、ハザードの特定とも関連している。
  • リスク評価では、リスク分析の結果をリスク基準と比較し、受容可能性や対応の優先順位を決定する。

リスクアセスメント(英: Risk assessment)とは、ISO規格において、リスク特定、リスク分析、リスク評価を網羅するプロセス全体を指す概念である[1]。一般的に、リスクアセスメントの実施後には、特定されたリスクに対応するための「リスク対応」のステップへと進む[1]。

リスクマネジメントにおける位置づけ

ISO規格において、リスクアセスメントは組織のリスクマネジメントプロセスを構成する重要なサブプロセスの一つである[1]。安全工学の分野では、予測されるリスクの可能性と大きさを表す予測値と、許容される上限を示す許容値を比較し、予測値が許容値を上回る場合に軽減策や回避策を講じる意思決定のプロセスとして機能する[1]。また、リスク対応の実施後には、対応しきれずに残る「残留リスク」が存在する[1]。

リスクアセスメントの3つの基本プロセス

ISOの定義および国際規格において、リスクアセスメントは主に以下の3つのステップで構成される。

    リスク特定(Risk identification): リスクを発見し、認識し、記述するプロセスである[1]。リスクの原因や発生シナリオ、潜在的な結果を明確にする[1]。安全工学などの分野では「ハザード特定」とも呼ばれる[1]。

    リスク分析(Risk analysis): リスクの性質を深く理解し、リスクレベルを決定するプロセスである[1]。既存のコントロールの有効性を調査し、結果とその起こりやすさを分析する[1]。

    リスク評価(Risk evaluation): リスク分析の結果をあらかじめ定められたリスク基準と比較し、リスクの重大性や受容可能性を判断するプロセスである[1]。これにより、リスク対応の優先順位が決定される[1]。

主な評価技法と手法

ISO 31010などの規格では、リスクアセスメントを効果的に実施するために多様な技法が規定されている[8]。組織の目的や対象とするリスクの性質に応じて、定性的または定量的な手法が選択される。

    ブレインストーミングやデルファイ法などの専門家の知見を活用する手法[8]

    チェックリストや予備的ハザード分析(PHA)などの経験的・体系的な手法[8]

    故障モード・影響解析(FMEA)や故障の木解析(FTA)、イベントツリー分析(ETA)などの論理モデルに基づく手法[8]

    モンテカルロシミュレーションやベイズ統計などの確率論的・定量的モデル[8]

よくある質問

リスクアセスメントとリスクマネジメントの違いは何ですか?
リスクマネジメントは組織をリスクから守るための全体的な管理プロセスであり、リスクアセスメントはそのプロセスの一部として行われる「リスクの特定・分析・評価」を行うサブプロセスです。
ハザードとリスクの違いは何ですか?
ハザードは災害や故障といった危険性や有害性の源を指し、リスクはそのハザードが悪影響をもたらす可能性や度合いの大きさを意味します。
残留リスクとは何ですか?
リスク対応(軽減策や回避策など)を実施した後に残存するリスクのことを指します。

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リスクマネジメント安全工学故障モード・影響解析故障の木解析

参考文献

JIS Q 31000 「リスクマネジメント―原則及び指針」
ISO/IEC GUIDE 51:2014
IEC 31010:2019 Risk management — Risk assessment techniques