ロードプライシングの仕組みと国内外の動向

📌 主なポイント
- ✓ロードプライシングは、狭義には交通量制限や公害低減などの社会的合理性を目的に公道の利用を有料化する政策措置である。
- ✓欧州連合(EU)では汚染者負担原則に基づき、重量3.5トン以上の貨物車などを対象とした道路課金や距離制課金制度の導入が進められてきた。
- ✓日本国内では、2021年の東京オリンピック・パラリンピック時の首都高速道路や、東京湾アクアラインなどで渋滞緩和を目的とした料金施策が実施された。
ロードプライシング(英: Road pricing)とは、広義には自動車による道路の使用に対して料金を徴収する行為全般を指すが、狭義には都市中心部などの公道利用に対して課金や課税を行うことで、交通量制限や公害低減、社会的合理性の実現を狙う政策措置を指す。
概念と経済学的背景
第二次世界大戦後のモータリゼーションの進展に伴い、道路網の整備が進む一方で、交通事故、大気汚染、騒音といった自動車公害が社会問題化した。また、道路容量の限界から都市部では慢性的な交通渋滞が常態化した。
交通経済学や交通工学においては、道路の渋滞・混雑が旅行時間の増大などを引き起こし、社会全体での「社会的費用」を非線形的に増大させていると捉えられる。利用者は道路利用による外部費用を直接請求されないため、過大な需要が生じる傾向がある。ロードプライシングは、こうした外部費用を利用者に明示的に負担させることで、交通需要の適正化や社会的損失の縮小を図る手法として議論されてきた。
欧州における貨物・距離制課金制度
欧州連合(EU)では、外部費用の利用者負担・汚染者負担原則に基づき、重貨物車に対する道路通行料の課金が進められてきた。ドイツでは、商用トラックを対象とした距離制のトラック通行課金制度(LKW-MAUT)が導入されている。また、GNSS(GPS)や携帯電話網を活用した距離制課金システムや、欧州全体の電子的道路課金サービスの相互運用性を高める取り組みが進められている。
日本国内における事例と取り組み
日本国内においても、過去に大都市における通行賦課金の構想が検討された歴史がある。近年では、特定の期間や路線において交通量や渋滞の緩和を目的とした施策が実施されている。
2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピックの際には、大会期間中の渋滞緩和策として首都高速道路の一部区間で特別料金が導入された。また、東京湾アクアラインにおいても、土日・祝日の慢性的な渋滞の緩和を目的として、時間帯に応じた料金変動の取り組みが行われている。
よくある質問
ロードプライシングの主な目的は何ですか?
通常の有料道路とロードプライシングは何が異なりますか?
日本国内ではどのような場所で実施されたことがありますか?
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参考文献
- 宇沢弘文『自動車の社会的費用』岩波新書、1974年。
- 竹内健蔵『交通経済学入門』有斐閣、2008年。
- 「日中の首都高は千円上乗せ、夜間は半額に…渋滞緩和のため『ロードプライシング』開始」読売新聞、2021年7月19日。