気象学・航空宇宙工学

ロケットゾンデ:高層大気観測技術の概要と歴史

ロケットゾンデの仕組み、歴史、および日本におけるMT-135ロケットを用いた観測活動について解説します。

📌 主なポイント

  • ロケットゾンデは、ラジオゾンデでは到達できない高度約60kmまでの大気観測を可能にする。
  • 日本で開発されたMT-135ロケットは、成層圏および中間圏下部の観測に貢献した。
  • 岩手県綾里の気象ロケット観測所では、1971年から2001年まで約30年間にわたり定期観測が実施された。

ロケットゾンデは、観測ロケットを用いて上空約60kmまでの大気高層を観測するための、無線送信機を備えた測定器です。気球を用いる一般的なラジオゾンデが到達可能な高度(約30km)を大きく上回り、成層圏から中間圏下部に至る中層大気の物理状態を直接観測するために開発されました。

観測の目的と仕組み

ロケットゾンデは、中層大気の気温、気圧、風向、風速、および大気密度を測定するために使用されます。気球では到達困難な高度域をカバーすることで、成層圏や中間圏における大気循環や温度構造の解明に重要な役割を果たしてきました。観測機器はロケットの先端部に搭載され、最高高度に達した後に分離・降下しながらデータを地上へ送信する仕組みが一般的です。

日本における観測の歴史

日本では1960年代、東京大学宇宙航空研究所(現在の宇宙航空研究開発機構:JAXA)と気象庁の協力により、ロケットゾンデを用いた観測技術の開発が本格化しました。この過程で開発されたMT-135ロケットは、日本の高層気象観測の主力となりました。

1971年には岩手県三陸町(現・大船渡市)綾里に気象ロケット観測所が設置され、MT-135Pを用いた定期観測が開始されました。この観測所では、2001年に運用を終了するまでの約30年間にわたり、週1回の頻度で観測が実施されました。記録によれば、定期観測だけで1,119回、試験打ち上げ等を含めると1,300回以上の打ち上げが行われました。

MT-135Pロケットの仕様

定期観測に使用されたMT-135Pは、全長3.3mの単段式小型ロケットです。発射後約10秒で燃焼を終えて慣性飛行に移行し、約95秒後に観測機器部を分離します。その後、約110秒で最高高度に達し、パラシュートを展開して降下しながら観測データを取得します。

よくある質問

ロケットゾンデとラジオゾンデの違いは何ですか?
ラジオゾンデは気球を用いて主に高度30km程度までを観測しますが、ロケットゾンデはロケットを用いることで高度60km付近の中間圏まで観測対象を広げることができます。
MT-135ロケットはどのようなロケットですか?
MT-135は、日本で開発された全長3.3mの単段式小型観測ロケットです。気象観測を目的として設計され、長年にわたり高層大気のデータ収集に使用されました。

関連記事

ラジオゾンデ観測ロケット成層圏中間圏宇宙航空研究開発機構

参考文献

  • JAXA宇宙情報センター「MT-135」
  • 明星電気「MT-135Pロケットゾンデ(1964年)」
  • 気象庁気象ロケット観測所関連資料