文化史

西洋近代の精神運動:ロマン主義の歴史と展開

西洋近代の精神運動:ロマン主義の歴史と展開
18世紀末から19世紀前半にかけてヨーロッパで展開されたロマン主義の歴史、各国の文学的特徴、およびその語源と受容について解説します。

📌 主なポイント

  • ロマン主義は18世紀末から19世紀前半にかけてヨーロッパを中心に展開した精神運動である。
  • 理性や合理主義を重視した古典主義の対概念として位置づけられる。
  • 「ロマン」という言葉の語源は、ローマ帝国の庶民の口語であったロマンス語やその文学作品に由来する。

ロマン主義(英: Romanticism、仏: Romantisme、独: Romantik)は、主として18世紀末から19世紀前半にかけてヨーロッパで興り、のちに世界各地へ影響を与えた精神運動である。それまでの理性偏重や合理主義、教条主義的な古典主義に対し、個人の感受性や主観、情熱に重きを置いた点が大きな特徴である。

歴史的背景と語源

哲学者のアーサー・オンケン・ラヴジョイは、ロマン主義の時代を1780年から1830年頃と定義している。また、この運動は部分的には産業革命への反動としても生じた。ロマン主義の語源は、ローマ帝国時代における文語の古典ラテン語に対し、庶民の口語であった俗ラテン語を起源とする「ロマンス語」や、それによって書かれた文学作品である「ロマン」に由来する。すなわち、支配階級の文化に対する庶民の文化や感情の表現に端を発している。

各国における展開

フランス

フランスにおけるロマン主義の萌芽は、ジャン=ジャック・ルソーやベルナルダン・ド・サン=ピエールの著作に見出すことができる。19世紀に入ると、スタール夫人やフランソワ=ルネ・ド・シャトーブリアンらの初期ロマン派作家が、抑圧されてきた個人の独自性や実存的不安を表現した。その後、ヴィクトル・ユーゴーらが中心となり、1830年の戯曲『エルナニ』の上演(エルナニ事件)などを契機として芸術における自由を求め大きなうねりとなった。

イギリス

イギリスでは、ウィリアム・ブレイクの詩をその萌芽とし、1798年に出版されたウィリアム・ワーズワースとサミュエル・テイラー・コールリッジの共著『抒情民謡集』によって本格的な展開を迎えた。のちにジョージ・ゴードン・バイロンやパーシー・ビッシュ・シェリーらが理想主義を掲げ、産業革命が進む社会の中で強い影響力を放った。

ドイツ

ドイツのロマン主義運動は、北部のイエナを中心として展開された。シュレーゲル兄弟やノヴァーリスらが中心となった「イエナ・ロマン派(初期ロマン派)」は、哲学的な志向を強く持っていたこと特徴とする。のちにグリム兄弟やホフマンらの後期ロマン主義へと受け継がれていった。

よくある質問

ロマン主義とはどのような運動ですか?
18世紀末から19世紀前半にかけてヨーロッパで起こった精神運動で、理性偏重や古典主義に対する反発として、個人の感受性、主観、感情を重視したものです。
「ロマン」という言葉の由来は何ですか?
ローマ帝国時代の文語(古典ラテン語)に対して、庶民の口語であった俗ラテン語やロマンス語、およびそれらで書かれた文学作品に由来しています。
日本での「浪漫主義」という表記は誰が使いましたか?
夏目漱石が1907年の講義録『文学論』などで「浪漫」という当て字を使用したことが確認されています。

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参考文献

  • ROMANTICISM-Dictionary of the History of Ideas
  • Encyclopædia Britannica Online
  • ドミニック・ランセ『十九世紀フランス文学の展望』白水社、1980年。