化学
硫酸塩の化学的特性と構造

硫酸塩の化学構造、結合様式、物理的性質、および自然界における硫酸塩鉱物について解説する百科事典記事。
📌 主なポイント
- ✓硫酸塩は硫酸イオン(SO42-)を含む無機化合物の総称である。
- ✓硫酸イオンの構造は正四面体形であり、S-O結合長は約149ピコメートルである。
- ✓多くの硫酸塩は水に溶けやすいが、バリウムやカルシウムなどの塩は水に難溶である。
硫酸塩(りゅうさんえん、英語: sulfate)とは、硫酸イオン(SO42-)を含む無機化合物の総称である。
構造および結合
硫酸陰イオンは中心の硫黄原子と、それを正四面体配置で囲む4つの等価な酸素原子から構成される。この対称性はメタンの対称性と同一である。硫黄原子の酸化状態は+6であり、4つの酸素原子はそれぞれ-2の酸化状態にある。硫酸イオンは2価の負電荷を有しており、硫酸水素イオン(HSO4-)の共役塩基である。

S-O結合長は149ピコメートル (pm) であり、S-O単結合から予測される値よりも短い。硫酸イオンの四面体形構造はVSEPR理論から予測されるものである。

現代的な用語による硫酸イオン中の結合の描写は、ギルバート・ルイスによる1916年の論文に端を発する。この論文では結合を電子オクテットの観点から説明した。後にライナス・ポーリングは原子価結合理論を用い、d軌道が関与する2つのπ結合を持つ共鳴標準構造を提唱した。

しかし、計算解析によって硫黄上の明らかな正電荷と低い3d占有率が確認されており、2つの二重結合を持つモデルよりも4つの単結合を持つ描写が最適なルイス構造であるとされることが多い。


性質と反応
硫酸は2価のオキソ酸であり、硫酸塩は正塩、水素塩、塩基性塩に分類される。また、タットン塩やミョウバン類などの複塩も形成する。
ほとんどすべての金属元素と安定な塩を形成する。バリウム塩、ストロンチウム塩、鉛(II)塩、カルシウム塩、銀(I)塩が水に難溶である点を除き、多くの場合水に溶けやすい。金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩は硫酸に溶解して硫酸塩を生成する。
硫酸塩鉱物
鉱物学において、硫酸塩からなる鉱物は硫酸塩鉱物と呼ばれる。
- 重晶石 - BaSO4
- 天青石 - SrSO4
- 硬石膏 - CaSO4
- 石膏 - CaSO4・2H2O
- 明礬石 - KAl3(SO4)2(OH)6
- 鉄明ばん石 - KFe3(SO4)2(OH)6
よくある質問
硫酸塩とはどのような化合物ですか?
硫酸イオン(SO42-)を含む無機化合物の総称であり、ほとんどすべての金属元素と安定な塩を形成します。
硫酸イオンの形状はどのようなものですか?
中心に硫黄原子があり、それを正四面体配置で4つの酸素原子が囲む構造をしています。
水に溶けにくい硫酸塩にはどのようなものがありますか?
バリウム塩、ストロンチウム塩、鉛(II)塩、カルシウム塩、銀(I)塩などが水に難溶性を示します。
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参考文献
長倉三郎ら編『岩波理化学辞典』第5版、岩波書店、1999年。 / 文部省編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年。