化学・産業安全
安全データシート(SDS)の概要と制度

化学物質の危険性や有害性、適切な取り扱い方法を伝達する安全データシート(SDS)について、日本の法規制やGHSとの関連を解説します。
📌 主なポイント
- ✓SDSは化学物質の危険性や有害性、取り扱い方法を伝達するための文書である。
- ✓日本では労働安全衛生法、化管法、毒物及び劇物取締法に基づき、事業者間の譲渡・提供時にSDSの提供が義務付けられている。
- ✓記載内容は国際的なGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)およびJIS Z 7253に準拠している。
安全データシート(Safety Data Sheet、略称:SDS)とは、危険性や有害性のおそれがある化学物質を含む製品を他の事業者に譲渡または提供する際、その性状や取り扱いに関する情報を提供するための文書です。化学物質の適正な使用と管理を目的としており、人体や環境へのリスクを低減するための情報伝達手段として重要な役割を担っています。
国際的には、国連の「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」に基づき標準化が進められています。

日本のSDS制度
日本では、GHSの導入に伴い、かつて「化学物質等安全データシート(MSDS)」と呼ばれていた文書が、2012年のJIS Z 7253制定を機に国際的な呼称である「SDS」へと統一されました。日本のSDS制度は、主に「労働安全衛生法」「化学物質排出把握管理促進法(化管法)」「毒物及び劇物取締法」の3つの法律と、JIS規格が連携する形で運用されています。
法規制と義務
化学物質を製造、輸入、または譲渡・提供する事業者は、対象となる化学物質を含む製品を他の事業者に提供する際、SDSの提供が義務付けられています。提供媒体は紙の文書だけでなく、電子メールや管理下のWebページへの掲載なども認められています。

記載内容
JIS Z 7253に基づき、SDSには以下の項目を記載することが求められます。
- 製品および会社情報
- 危険有害性の要約(GHS対応の絵表示や注意喚起語)
- 組成および成分情報
- 応急措置
- 火災時の措置
- 漏出時の措置
- 取扱いおよび保管上の注意
- 暴露防止および人に対する保護措置
- 物理的および化学的性質
- 安定性および反応性
- 有害性情報
- 環境影響情報
- 廃棄上の注意
- 輸送上の注意
- 適用法令
- その他の情報
国際的な動向
欧州連合(EU)ではREACH規則およびCLP規則に基づきSDSが規定されており、米国では労働安全衛生局(OSHA)の基準によって管理されています。中国や台湾においても、国際的なGHSの枠組みに準拠した形式でSDSの作成が義務付けられています。
よくある質問
SDSの提供はどのような場合に義務付けられますか?
危険性や有害性のある化学物質を含む製品を、他の事業者に譲渡または提供する場合に義務付けられます。
SDSの提供媒体にはどのようなものがありますか?
文書のほか、磁気ディスク、電子メール、譲渡提供者の管理下にあるWebページへの掲載などが認められています。
MSDSとSDSの違いは何ですか?
実質的な機能は同じですが、日本では2012年のJIS Z 7253制定を機に、国際的な呼称である「SDS」へと名称が統一されました。
関連記事
化学品の分類および表示に関する世界調和システム労働安全衛生法特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律毒物及び劇物取締法
参考文献
- 経済産業省「化管法SDS制度」
- 厚生労働省「化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係)」
- 日本規格協会「JIS Z 7253:2019」