細胞生物学
細胞核の構造と機能に関する総合解説

真核生物の細胞核における核膜、核膜孔、染色体、核小体などの構造と遺伝子発現の調節機能について詳細に解説する百科事典記事。
📌 主なポイント
- ✓細胞核は真核生物の細胞にみられる二重の核膜に囲まれた細胞小器官である。
- ✓核内には細胞のゲノムDNAの大部分が染色体(クロマチン)として収納されている。
- ✓核膜を貫通する核膜孔複合体(NPC)を介して、核と細胞質の間で分子の選択的輸送が行われる。
- ✓核小体はリボソームRNAの合成およびリボソームの組み立てを担う主要な核内構造体である。
細胞核(さいぼうかく、英: cell nucleus)は、真核生物の細胞にみられる、膜に囲まれた主要な細胞小器官である。通常、1つの細胞には1つの核が存在するが、哺乳類の成熟赤血球のように核を持たないものや、破骨細胞のように多数の核を含むものなど、例外的な細胞種も存在する。核の主要な構成要素は核膜と核マトリックスであり、細胞のゲノム情報のほぼ全てを内包している。
染色体とクロマチン
細胞核の内部には、細胞の遺伝情報の大部分が直鎖状のDNA分子として含まれており、タンパク質と結合してクロマチンを形成している。クロマチンは、DNAの詰め込みが緩やかで高頻度で転写が行われるユークロマチンと、コンパクトに折り畳まれ遺伝子が不活性なヘテロクロマチンに大別される。また、間期の核内において各染色体は領域ごとに分かれて存在しており、これを染色体テリトリーと呼ぶ。
核膜と核膜孔の構造
核は、内膜と外膜からなる二重の脂質二重層である核膜によって包まれている。外膜は小胞体膜と連続しており、その表面にはリボソームが点在している。核膜には数千個の核膜孔複合体(NPC)が貫通しており、核質と細胞質基質の間での高分子の選択的な能動輸送を仲介している。
核内構造体
核内には膜に囲まれた下位区画は存在しないが、特定のタンパク質やRNAが集まった多数の核内構造体が確認されている。中でも最も顕著なのがリボソームの組み立てを行う核小体であり、他にもスプライシング因子が集積する核スペックルなどが存在する。
よくある質問
すべての真核生物の細胞には必ず核がありますか?
いいえ。多くの真核生物の細胞には核が1つ存在しますが、哺乳類の成熟赤血球のように核を失う細胞や、破骨細胞のように多核である細胞も存在します。
核膜孔はどのように分子を通していますか?
低分子やイオンは自由に通過できますが、タンパク質や核酸などの巨大分子は核膜孔複合体を介した能動的輸送によって選択的に出入りしています。
核小体の主な役割は何ですか?
核小体はリボソームRNA(rRNA)の転写・プロセシングを行い、リボソームサブユニットを組み立てる中心的な役割を果たしています。
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参考文献
- Alberts B, Johnson A, Lewis J, Morgan D, Raff M, Roberts K, Walter P (2015). Molecular Biology of the Cell (6 ed.). New York: Garland Science.
- Lodish HF, Berk A, Kaiser C, Krieger M, Bretscher A, Ploegh H, Amon A, Martin KC, Darnell JE (2016). Molecular Cell Biology (Eighth ed.). New York: W.H. Freeman.