日本の河川

酒匂川:静岡県および神奈川県を流れる二級河川の歴史と地理

酒匂川:静岡県および神奈川県を流れる二級河川の歴史と地理
静岡県と神奈川県を流れる二級河川・酒匂川の地理的特徴、歴史的な背景、主な支流や水害の記録について解説する百科事典記事です。

📌 主なポイント

  • 酒匂川は静岡県および神奈川県を流れる延長46kmの二級河川である。
  • 静岡県内では「鮎沢川」とも呼ばれている。
  • 江戸時代の東海道において橋が架けられておらず、「酒匂川の渡し場」として浮世絵の題材にも描かれた。

酒匂川(さかわがわ)は、静岡県および神奈川県を流れる延長46km、流域面積582km²の二級河川である。静岡県内では鮎沢川(あゆざわがわ)とも呼ばれ、神奈川県においては利水の面で相模川に次ぐ重要な河川として位置づけられている。

松田町内の高台から望む酒匂川
松田町内の高台から望む酒匂川
地図
地図
地図
地図

地理と流域の特徴

富士山の東麓と丹沢山地の西南部を主な源流とし、JR東海御殿場線や東名高速道路と並走しながら流れる。丹沢山地と箱根山の間を抜けた後は足柄平野(酒匂川低地)を南下し、小田原市で相模湾へと注ぐ。

酒匂川と富士山
酒匂川と富士山

上流の御殿場市付近では富士山のなだらかな裾野が広がり、流れが穏やかで護岸工事が施されている。一方、中上流域の小山町から山北町にかけての県境付近では谷が深く、大きな岩や石が見られる渓流の趣きを持つ。下流の足柄平野付近に至ると川幅が広がり、周囲には水田や住宅地が広がる。

酒匂川河口
酒匂川河口

歴史と交通

古くから東海道が横切るなど、重要な交通路と深い関係を持ってきた。江戸時代の東海道には橋が架けられておらず、川越人夫が旅人を渡す「酒匂川の渡し場」が存在した。この様子は歌川広重や歌川国貞をはじめとする浮世絵の題材としても描かれている。

歌川広重 『東海道五十三次・小田原・酒匂川』
歌川広重 『東海道五十三次・小田原・酒匂川』

また、山間部から平野部へ流れ込む箇所では、水害を防ぎ耕地を潤すために文命堤(岩流瀬堤、大口堤)が建設された歴史がある。

主な支流

  • 川音川:四十八瀬川や中津川などが松田町内で合流する。
  • 狩川:南足柄市内および箱根山北側を源流とし、小田原市内で酒匂川と合流する。
  • 内川:夕日の滝などの名所がある。
  • 河内川:丹沢湖へ流れ込んだ後、山北町で鮎沢川と合流する。
内川・夕日の滝
内川・夕日の滝

主な災害の歴史

歴史的に度重なる水害に見舞われてきた。1707年(宝永4年)の富士山宝永大噴火では大量の火山灰が降り積もり、翌年の豪雨で大規模な土石流が発生して大口堤が主流の濁流で埋め尽くされた。二宮尊徳も幼少期にこの水害で苦労を重ねたことが知られている。

玄倉川水難事故の発生現場付近
玄倉川水難事故の発生現場付近

近代以降も、1999年の玄倉川水難事故や、2006年の鮎沢川での急激な水位上昇による事故、2007年の台風9号による十文字橋の損壊、2010年や2019年の台風による豪雨災害などが発生している。

よくある質問

酒匂川はどこを流れる川ですか?
静岡県の富士山東麓を源流とし、小山町や御殿場市を経て神奈川県に入り、足柄平野を南下して小田原市で相模湾へと注ぐ二級河川です。
酒匂川の静岡県内での呼び名は何ですか?
静岡県内では「鮎沢川(あゆざわがわ)」と呼ばれています。

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参考文献

  • 知野泰明「近世の災害2」/ 北原糸子編著『日本災害史』吉川弘文館 2006年 190ページ
  • “東海道五十三次・小田原・酒匂川(保永堂)大錦横絵(初摺)”. 小田原市ホームページ. 2025年2月14日閲覧。