地形学
山麓緩斜面:特徴と地形学的形成プロセス
山麓緩斜面(ペディメント)の定義、乾燥地帯における侵食プロセス、歴史的背景について詳しく解説する地形学の百科事典記事。
📌 主なポイント
- ✓山麓緩斜面(ペディメント)は、基盤岩が0.5度から7度程度の非常に緩やかな傾斜をもつ侵食地形である。
- ✓土砂の堆積によってできるバハダとは異なり、基盤岩が削られて形成される点が特徴である。
- ✓1877年にグローヴ・カール・ギルバートによってユタ州のヘンリー山脈で初めて学術的に見出された。
山麓緩斜面(さんろくかんしゃめん、英語: pediment)は、基盤岩が非常に緩やかな傾斜(通常0.5度から7度程度)をもつ侵食地形である。主に乾燥地帯において、山地の斜面や断崖の後退に伴う過程で形成されることが多いが、山体の侵食が活発でなくなった後にも残存することがある。
地形的特徴と構成領域
山麓緩斜面は、類似する堆積地形である扇状地の集合体である「バハダ」とは明確に区別される。バハダが主に河川によって運ばれた土砂の堆積によって形成されるのに対し、山麓緩斜面は基盤岩そのものが削られて形成される侵食面である。
地形学においては、山麓緩斜面は主に以下の3つの領域に区分される。
- 山に近い領域:垂直侵食をほとんど受けていない最上部。
- 中間領域(侵食領域):基盤岩が削り取られる領域。
- 外側領域(堆積領域):緩斜面の外側へ伸び、薄い土砂や礫が堆積していく場所。
複数の山麓緩斜面が拡大し、互いに合体した広大な侵食平野はペディプレーンと呼ばれる。
侵食と形成のプロセス
山麓緩斜面の形成には、乾燥地帯特有の複数の侵食プロセスが関与している。
- ストリームによる側方平坦化および侵食作用。
- 大雨などの際に地表面を薄く流れる連続的な層流による侵食。
- 不均一な土壌流出によって生じた微小な流路によるリル侵食。
- 風化作用による山体の後退。
研究の歴史
山麓緩斜面という地形は、1877年にアメリカの地質学者であるグローヴ・カール・ギルバートによって、ユタ州のヘンリー山脈で発見された。ギルバートはこの地形の形成について、傾動した地層の端が平坦化される作用によるものであると記述し、砂漠環境における河川侵食がその成因であると考えた。この説はのちにパイジ(Paige, 1912)、ブラックウェルダー(Blackwelder, 1931)、ダグラス・ジョンソン(Johnson, 1932)らによって支持され、ジョンソンは前述の3つの領域の区分を提唱した。
よくある質問
山麓緩斜面とはどのような地形ですか?
基盤岩が0.5度〜7度の非常に緩やかな傾斜をもつ侵食地形であり、主に乾燥地帯の山麓で斜面の後退に伴い形成されます。
バハダとの違いは何ですか?
バハダは河川によって運ばれた土砂が堆積してできた地形であるのに対し、山麓緩斜面は岩盤自体が削られて形成された侵食面であるという違いがあります。
山麓緩斜面を発見したのは誰ですか?
1877年に地質学者のグローヴ・カール・ギルバートが、ユタ州のヘンリー山脈で発見しました。
関連記事
ペディプレーン扇状地侵食平野地形学
参考文献
- Encyclopædia Britannica, Pediment
- Essentials of Geology, 3rd Edition, Stephen Marshak, p464, pG-15
- Easterbrook, Don J. (1999) Surface Processes and Landforms, New Jersey, Prentice Hall
- Jones, David K.C. (2004). Denudation chronology. Encyclopedia of Geomorphology, pp. 244–248.
- Johnson, Douglas (1932) Rock Planes of Arid Regions, Geographical Review, Vol. 22, No. 4, pp. 656–665
- Wilson, William E. (editor) (1998) Glossary of Hydrology, American Geological Institute