海洋学
海氷の科学と特性

海氷の形成プロセス、流氷と定着氷の違い、および地球の気候システムにおける役割について解説します。
📌 主なポイント
- ✓海氷は海水が凍結したものであり、淡水由来の氷山とは区別される。
- ✓凍結過程で塩分が排出されるため、海氷自体はほぼ淡水である。
- ✓海氷の形成は海洋の熱塩循環を維持する重要なプロセスである。
海氷(かいひょう)とは、海水が凍結して形成される氷の総称です。淡水由来の氷山とは異なり、海水に含まれる塩分が凍結過程で排出されることで形成されます。海氷は、その移動性や生成場所によって、沿岸に固定された定着氷と、海面を漂流する流氷に大別されます。
形成プロセス
海氷の形成は、海面が氷点下(約-1.8℃)まで冷却されることから始まります。まず、微小な円盤状の結晶(晶氷)が生成され、これらが風や波の影響で集合し、グリースアイスやはす葉氷へと発達します。この過程で海水中の塩分が排出されるため、海氷自体はほぼ淡水に近い組成となります。排出された高塩分の水(ブライン)は周囲の海水より密度が高く、海洋の熱塩循環に影響を与える重要な要素です。



分類と分布
海氷は成長期間によっても分類されます。冬の間に形成され、そのシーズン中に融解するものを一年氷と呼び、夏を越して翌年以降も残るものを多年氷と呼びます。北極海には多年氷が多く存在しますが、南極周辺の海氷の大部分は一年氷です。





夏の融解と気候への影響
夏季には氷表面の雪が融解し、メルトウォーター・プール(パドル)が形成されます。この水は氷の結晶内のブラインを排出する「フラッシング」という現象を引き起こし、氷の強度を変化させます。海氷は高いアルベド(反射率)を持ち、太陽光を反射することで極域の熱バランスを維持する重要な役割を担っています。


よくある質問
海氷と氷山の違いは何ですか?
海氷は海水が凍結してできたものですが、氷山は陸上の氷河や棚氷から分離した淡水由来の氷です。
なぜ海氷は塩分を含まないのですか?
凍結する際に、海水中の塩分が結晶構造から排出されるためです。
一年氷と多年氷の違いは何ですか?
一年氷は一冬で形成されそのシーズン中に融解する氷を指し、多年氷は夏を越して翌年以降も残存する氷を指します。
関連記事
北極の海氷氷山熱塩循環海洋学
参考文献
- 気象庁「海氷用語の説明」
- 海上保安庁海氷情報センター「海氷」
- コトバンク「一冬氷」
- コトバンク「多冬極氷、多冬氷」