化学
化学における生成熱の基礎と標準生成エンタルピーの概念

化学物質の生成熱および標準生成エンタルピーの定義、標準状態における基準、状態量としての性質について解説する百科事典記事です。
📌 主なポイント
- ✓生成熱は、安定な単体をゼロ基準として1 molの化合物を合成する反応に伴う反応熱の負の値である。
- ✓標準状態は298.15 K、10^5 Paとして定義される。
- ✓水溶液中の水素イオンの標準生成エンタルピー変化は基準として0に設定される。
- ✓生成熱は状態量であり、化学反応の経路に依存しない。
ある物質の生成熱(せいせいねつ)とは、安定な単体の生成熱をゼロ基準として、その物質を構成する単体から1 molの化合物を合成する反応に伴う反応熱の負の値(正負逆の値)である。一般的には定圧下の生成熱として生成エンタルピー変化ΔHfで表される。

標準生成熱と標準状態
標準状態(298.15 K, 10^5 Pa)における生成熱を標準生成熱または標準生成エンタルピーといい、ΔfHと記される。気体については圧力10^5 Paの仮想的な理想気体の状態、水溶液中のイオンについては、無限希釈の状態である仮想的な1 mol kg−1の理想溶液の状態とする。

なお、水溶液中のイオンの生成エンタルピーは陽イオンおよび陰イオンの合計として測定され、単独イオンの測定は不可能であるため、水素イオンの標準生成エンタルピー変化を基準にとり0とする。


状態量としての性質
生成熱などの物質の内部エネルギーは状態量であるため、生成する経路に依存しない。したがって、生成熱は物質がどのような経路で生成されたかには左右されず、物質とその状態(気体や固体、および温度)ごとに一定の値をとり、各種ハンドブック等に記載されている。
よくある質問
生成熱とは何ですか?
安定な単体を基準として、構成する単体から1 molの化合物を合成する際に伴う反応熱の負の値です。
標準状態の定義は何ですか?
温度298.15 K、圧力10^5 Paの状態を指します。
単独イオンの生成エンタルピーはどのように求められますか?
単独イオンのみの測定は不可能であるため、水素イオンの標準生成エンタルピー変化を0とする基準を用いて表されます。
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参考文献
D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).