東アジアの補助通貨単位「銭」の歴史と現状

📌 主なポイント
- ✓「銭」は東アジアにおいて広く用いられた通貨および補助通貨の単位である。
- ✓日本では1871年の新貨条例により1円の1⁄100としての「銭」が導入された。
- ✓1953年の小額通貨整理法により、日本国内での現金としての銭・厘単位の通貨は通用停止となった。
- ✓韓国および北朝鮮では「チョン(전)」と呼ばれ、ウォンの1⁄100の補助通貨単位となっている。
銭(せん、中国語: 錢/钱 拼音: qián チエン、韓国語: 전 チョン)は、東アジアのいくつかの国および地域で使用されてきた通貨の単位である。「銭」(旧字体「錢」)はもともと農具の「鋤(すき)」を意味する漢字であったが、鍬形の貨幣が存在したことから貨幣そのものを指すようになった。
通貨としての「銭」には主に、1円(または基本通貨)の1⁄100を表す系統と、質量1銭(=匁)の銀の価値、あるいは1⁄10両に相当する系統の複数の意味が存在してきた。
日本における「銭」
古代から江戸時代にかけての日本では、銭貨1枚の価値、すなわち文(あるいは0.001貫)に等しい単位として用いられた。1871年(明治4年)の新貨条例の制定により、円・銭・厘の新通貨制度が導入され、新たな「銭」は0.01円、10厘に相当する単位となった。

第二次世界大戦末期から終戦直後にかけて発生した激しいインフレーションにより、1円未満の現金を支払う単位としての実用性が失われた。そのため、1953年に施行された「小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律」により、現金としての銭および厘単位の硬貨や紙幣はすべて通用停止となった。

現在では、法令に基づく計算上の単位や、金融分野における株価指数・為替レートの端数表示、および一部の郵便切手の有効性などにその名残をとどめている。

韓国と北朝鮮における「チョン」
韓国語では「錢」を「チョン(전)」と読み、英字表記はjeonとされる。南北ともに基本通貨であるウォンの1⁄100の補助通貨単位として位置づけられている。

現在の韓国では、日本の銭と同様に計算上のみの単位となっており、実際の流通はほとんど見られない。一方、北朝鮮ではチョン硬貨が鋳造されてきた歴史があるが、流通量は極めて少ない。
中国およびベトナムにおける用法
中国においては、伝統的に「両」の1⁄10、すなわち質量1銭の銀の価値に相当していた。現代の人民元においては、1元の1⁄10は「角」、1⁄100は「分」と呼ばれている。またベトナムの阮朝後期などにおいても、「錢(ティエン)」が同様に銀の価値や重量の単位として使用されていた。
よくある質問
「銭」という漢字の由来は何ですか?
日本で現金としての「銭」が使われなくなったのはなぜですか?
韓国や北朝鮮における「銭」の呼び方と価値は何ですか?
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参考文献
- 日本銀行 『ISO 4217 - 通貨コードに関する国際規格 -』 2026年4月23日閲覧。
- 二村隆夫 監修 『丸善 単位の辞典』 丸善, 2002年。