芝生(植物・造園・利用)の解説

📌 主なポイント
- ✓芝は大きく日本芝と西洋芝に分類され、さらに夏型芝と冬型芝に分かれる。
- ✓日本最古の造園書である『作庭記』には「芝をふせる」という記述が存在する。
- ✓茨城県つくば市は日本一の芝の作付け面積を持つ産地である。
芝(しば)とは、イネ科の多年草のうち、人工的に群生させて適宜刈り込みなどの管理を行い、地表面を緻密に被覆するような生育を維持させ、ある程度の広がりをもち、運動・休養・鑑賞・保安の目的に利用される種の総称である。1種類あるいは数種類の草が用いられ、それらの種は芝草とも呼ばれる。シバ属のシバ(ノシバ)という和名の植物もあり、これも芝として利用されるが、シバ属以外の植物にも芝として使われるものは多い。
芝生(天然芝)は、大きく日本芝と西洋芝に分けられ、そこからさらに夏型芝や冬型芝に分けられる。日本芝は夏型芝のみであるが、西洋芝は夏型と冬型の両方の種類がある。
歴史
西洋では庭園に芝生が利用されてきた歴史があり、ローマ帝国の崩壊後には僧侶が西洋風庭園の造園に貢献した。
日本では『万葉集』や『日本書紀』の和歌に「芝」の記述が見られるものが、歴史上確認されているなかでもっとも古い。ここでの芝は、おそらく自生する日本芝の一種の野芝である。平安時代に書かれた日本最古の造園書『作庭記』には、「芝をふせる」という記述が見られるため、この時代にはすでに芝が造園植物材料として認識されていたと考えられている。明治時代に入り諸外国との交流が活発化すると、各地で西洋芝が導入された。
芝の種類
日本芝
日本芝は日本に自生している植物であり、全てシバ属に属する。英語圏では一般にゾイシア(Zoysia)と呼ばれる。
夏型で高温期に生育するが、冬季は休眠し枯れたようになる。生育適温が23 - 35°Cと高く、日本の夏に適応しているが、気温が23°C以下になる11月から3月の冬季には生育が停止し、葉の黄変が見られるようになる。匍匐型(ほふく型)であり、ランナーが伸びることによる節間伸張によって成長する。
西洋芝
西洋芝は耐陰性や繁殖性などの点で優れた特性を持つものが多い一方、日本芝よりも頻繁な刈り込みを必要とする場合があり、病害に対する抵抗力が弱い品種では農薬の散布が必要になることもある。
夏型芝は日本芝とほぼ同じ性質を持つ。一方、冬型芝は生育適温が16 - 24°Cで、冷涼な気候を好み、日本での生育適地は北海道や東北北部である。冬季でも緑色を保つものが多いが、夏の高温多湿時には病気になりやすく、肥料や灌水を多く必要とする。
芝生の造成
芝生の造成方法には、種子を蒔く蒔芝法(播種法)と、株分けした芝を張り付けていく芝付法(張芝など)の2種類がある。日本芝は主に張芝により繁殖させる。
日本国内における芝の主な産地として、日本一の作付け面積を誇る茨城県つくば市をはじめ、静岡県の富士山麓地域、鳥取県、鹿児島県、宮城県などが知られている。
芝生の管理
芝生の品質を維持するためには、定期的な管理作業が必要となる。
- 芝刈り:生育期には適切な刈高(ゴルフ場や競技場、校庭などの目的に応じて設定)を維持するために定期的な刈り込みを行う。
- 病害虫防除:さび病、葉腐病、葉枯れ病などの発生に対して防除を行う。
- 施肥:春には成長を促す春肥を、秋には耐寒性を強める秋肥を施す。
- 除草:抜き取り除草や薬剤防除が行われる。
- サッチ取り(サッチング):枯れた葉や根が蓄積した層(サッチ)を取り除き、水はけと通気性を改善する。
芝の利用
芝生は公園や運動場のほか、野球場、サッカー場、ゴルフ場、競馬場などのスポーツ施設で広く利用されている。野球場においては、メジャーリーグ(MLB)の本拠地で多くの球場が天然芝を採用している一方、日本では気候や保守・管理コスト、多目的利用の観点から人工芝が利用されることが多い。サッカー場やJリーグの競技場においては、規約やガイドラインに基づいて天然芝やハイブリッド芝の導入が進められている。