自然現象
しぶき氷のメカニズムと発生環境

湖や海の水辺で波しぶきが樹木や岩に付着し凍結する自然現象「しぶき氷」について、その発生メカニズムや日本国内の主な観察地を解説します。
📌 主なポイント
- ✓しぶき氷は、波しぶきが物体に付着して凍結する自然現象である。
- ✓発生には、水面が凍らない厳冬期の環境と、絶え間ない波しぶきの供給が不可欠である。
- ✓猪苗代湖のしぶき氷は、その巨大な造形から「氷の芸術」として知られる。
しぶき氷(しぶきごおり)とは、湖や海、河川などの水辺において、強風によって巻き上げられた波しぶきが、岸辺の樹木や岩、灯台などの物体に付着し、そのまま凍結することで形成される自然現象です。文献によっては船舶への着氷を含め「飛沫着氷(しぶき着氷)」と呼称されることもあります。
発生メカニズム
しぶき氷が形成されるためには、厳冬期においても水面が凍結せず、かつ絶えず波しぶきが供給される環境が必要です。付着した飛沫が急速に凍結することで、氷の層が重なり、独特の造形が生まれます。研究によると、湖のしぶき氷には濡れ成長に伴うスポンジ状の氷の層や、放射状の結晶構造、雪が混ざった粒状構造などが混在していることが確認されています。

主な観察地
日本では、福島県の猪苗代湖が特に有名であり、高さ5メートルに達することもあるその造形は「氷の芸術」とも称されます。その他、以下の場所でも観察が報告されています。
- 猪苗代湖:天神浜付近や湖南町の浜路浜から舘浜付近が主要な発生地です。地形や風向きの影響を強く受け、特に西風や北風が吹き付ける際に発達します。
- 支笏湖:湖岸で自然発生するほか、氷濤まつりなどのイベントでも知られています。
- 中禅寺湖:栃木県に位置し、冬期に観察されることがあります。
- 琵琶湖:比叡山からの吹き下ろしの風が強い日などに、東側の湖岸緑地一帯で広く見られます。



よくある質問
しぶき氷はどのような条件で発生しますか?
厳冬期でも水面が凍結せず、強風によって絶えず波しぶきが岸辺の物体に供給され、それが即座に凍結する環境で発生します。
しぶき氷と飛沫着氷は同じものですか?
現象としては類似していますが、文献上では船舶への着氷を含めた広い意味で「飛沫着氷」という用語が使われることがあります。
しぶき氷はどこで見ることができますか?
日本では福島県の猪苗代湖が有名ですが、北海道の支笏湖、栃木県の中禅寺湖、滋賀県の琵琶湖などでも観察されることがあります。
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猪苗代湖支笏湖中禅寺湖琵琶湖着氷
参考文献
- 新版 雪氷辞典(古今書院、2014年)
- 河村俊行ほか「猪苗代湖のしぶき氷と団子氷の観測」(雪氷研究大会講演要旨集、2008年)
- 尾関俊浩ほか「飛沫着氷の酸素同位体比の測定」(雪氷研究大会講演要旨集、2014年)
- 福島県観光情報サイト「ふくしまの旅」