キリスト教

新約聖書:キリスト教の正典と成立背景

新約聖書:キリスト教の正典と成立背景
新約聖書はキリスト教の正典であり、イエス・キリストの生涯や初代教会の歴史を伝える27の文書から構成されています。その成立過程や名称の由来、歴史的背景を解説します。

📌 主なポイント

  • 新約聖書は計27の書物から構成されるキリスト教の正典である。
  • 「新約」とは神と人間との「新しい契約」を意味し、エレミヤ書の預言に由来する。
  • 主に1世紀から2世紀にかけて、当時の公用語であったコイネー(ギリシア語)で執筆された。

新約聖書(しんやくせいしょ、ギリシア語: Καινή Διαθήκη、ラテン語: Novum Testamentum)は、1世紀から2世紀にかけてキリスト教徒によって執筆された文書群であり、『旧約聖書』と並ぶキリスト教の正典です。イエス・キリストの生涯と言葉、および初代教会の歴史や指導者による書簡など、計27の書物で構成されています。

名称の由来

「新約」という名称は、神と人間との「新しい契約」を意味します。この概念は、紀元前7世紀後半の預言者エレミヤが説いた「新しい契約」の思想に由来しており、初代教会の人々がイエス・キリストによって神との契約が更新されたと考えたことに始まります。ラテン語の「ノーヴム・テスタメントゥム(Novum Testamentum)」という呼称は、テルトゥリアヌスらによって用いられ、神との契約を示す書物の集合として定着しました。

構成と内容

新約聖書は、大きく分けて以下のカテゴリーで分類されます。

  • 福音書:マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネによる4つの福音書。イエスの生涯、死、復活を記録しています。
  • 歴史書:『使徒言行録』。イエスの死後、初代教会がどのように発展したかを記しています。
  • 書簡:パウロ書簡や公同書簡など。初期キリスト教の思想や共同体への教えが含まれています。
  • 黙示文学:『ヨハネの黙示録』。聖書の最後を飾る預言的な文書です。

言語と成立

新約聖書の各書は、当時ローマ帝国内で広く用いられていた口語的なギリシア語である「コイネー」で執筆されました。成立時期については諸説ありますが、近代の批判的研究では、ユダヤ戦争(70年)以降の成立を想定する見解が一般的です。また、伝承では使徒やその弟子による執筆とされてきましたが、現代の聖書学では、各書が複数の著者や編集者によって加筆・修正を経て成立したという見解も提示されています。

よくある質問

新約聖書には何冊の書物が含まれていますか?
新約聖書は合計27の書物から構成されています。
「新約」という言葉にはどのような意味がありますか?
神と人間との間に結ばれた「新しい契約」を意味します。イエス・キリストによってこの契約が更新されたという信仰に基づいています。
新約聖書は何語で書かれましたか?
当時のローマ帝国内で広く使われていた口語的なギリシア語である「コイネー」で書かれています。

関連記事

旧約聖書イエス・キリストキリスト教の歴史使徒パウロ

参考文献

  • 青柳知義ほか『新資料集 倫理』一橋出版、1995年。
  • アリスター・マクグラス『キリスト教神学入門』教文館。
  • 和田幹男『私たちにとって聖書とは何なのか-現代カトリック聖書霊感論序説』女子パウロ会。
  • 尾山令仁『聖書の権威』日本プロテスタント聖書信仰同盟。