環境問題・公害

新河岸川産業廃棄物不法投棄問題と対策の経緯

新河岸川産業廃棄物不法投棄問題と対策の経緯
埼玉県朝霞市の新河岸川河川敷で発生した産業廃棄物の不法投棄問題。発見から遮水壁設置、有機溶剤の吸引除去工事、技術検討委員会による無害化の取り組みまでの経緯を解説します。

📌 主なポイント

  • 1970年前後(昭和40年代)に埼玉県朝霞市上内間木の新河岸川河川敷で産業廃棄物が不法投棄された。
  • 1988年12月の河川改修工事に伴う掘削作業中に廃棄物が発見された。
  • 廃棄物からはPCB、ダイオキシン類、重金属、揮発性有機化合物(VOC)などの有害物質が検出された。
  • 1990年5月に現場周囲への鋼矢板打設などの応急措置が実施された。
  • ドラム缶に収めて保管されていた一部の廃棄物は、2016年12月までに無害化処理が完了した。

新河岸川産業廃棄物処理対策とは、1970年前後(昭和40年代)に埼玉県朝霞市上内間木の新河岸川河川敷において不法投棄された産業廃棄物に対し、埼玉県が実施してきた一連の環境保全・汚染対策事業である。河川改修工事の過程で廃棄物が発見されて以降、周辺の土壌および地下水汚染の拡大を防ぐための応急処置や有害物質の除去工事が進められている。

発見までの経緯と背景

1987年(昭和62年)8月から1988年(昭和63年)10月にかけて、埼玉県は一級河川である新河岸川の河川改修事業に伴う用地買収を実施した。同年12月、朝霞市上内間木の新河岸川左岸河川敷で掘削築堤工事を行っていたところ、ガラスくず、ゴムくず、廃プラスチックに加え、有機溶剤が入ったドラム缶などの大量の廃棄物が埋設されているのが確認された。

県の調査により、これらの廃棄物は高濃度のポリ塩化ビフェニル(PCB)、ダイオキシン類、鉛などの重金属、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トルエンなどの揮発性有機化合物(VOC)によって深刻に汚染されていることが判明した。

応急措置と環境対策の実施

廃棄物の発覚後、有害物質が河川や地下水へ流出するのを防ぐため、段階的な応急および恒久対策が講じられた。

  • 遮水壁の設置:1990年(平成2年)5月、現場の周囲に深さ13mの鋼矢板(シートパイル)による鉛直遮水壁を打設し、雨水の浸入を防ぐための防水シートによる覆いと約1mの覆土を行った。対象面積は2,450平方メートルに及んだ。
  • 護岸工事:1994年(平成6年)3月、洪水時の流出防止と安全性向上のため、川底の地盤改良を行った上で、新河岸川と埋設箇所の間に深度21mの鋼管矢板を設置した。
  • 有機溶剤の吸引除去:揮発性有機溶剤による周辺環境への影響を抑えるため、1996年(平成8年)から土壌ガス吸引法による脱有機溶剤工事を開始し、2010年(平成22年)までに推定50トン以上の有機溶剤を回収した。

技術検討委員会と無害化の現状

2009年(平成6年)6月、埼玉県は専門家による「埼玉県新河岸川産業廃棄物処理推進委員会 技術検討委員会」を設置し、廃棄物の本格的な無害化処理に向けた工法案の検討を開始した。現地で掘削されドラム缶に収納して一時保管されていた廃棄物については、2016年(平成28年)12月までに無害化処理認定施設での処理が完了した。

一方で、鋼管矢板で護岸された区間には依然として廃棄物が埋設されたままとなっており、ガス吸引効率の低下や第2帯水層の地下水への影響を懸念する声など、全面解決に向けた課題が残されている。不法投棄を実行した行為者については、犯人の特定に至らないまま公訴時効が成立している。

よくある質問

新河岸川の産業廃棄物はいつ発見されましたか?
1988年(昭和63年)12月に、新河岸川の河川改修事業に伴う掘削築堤工事の最中に発見されました。
どのような有害物質が埋められていましたか?
ポリ塩化ビフェニル(PCB)、ダイオキシン類、鉛などの重金属、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなどの揮発性有機化合物が含まれていました。
不法投棄の犯人は特定されたのですか?
犯人の特定には至らず、公訴時効が成立して未解決事件となっています。

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参考文献

埼玉県「新河岸川産業廃棄物の概要」「新河岸川産業廃棄物対策の経緯」「有機溶剤吸引工事」ほか各自治体資料・議事録。