都市計画・河川工学

親水:水辺環境の概念と歴史

親水:水辺環境の概念と歴史
「親水」の概念、歴史的背景、および都市河川における親水公園や親水護岸の役割について解説します。

📌 主なポイント

  • 「親水」は1960年代後半に東京都の河川技術者らによって提唱された造語である。
  • 従来の治水・利水機能に加え、景観やレクリエーション、心理的価値を重視する概念である。
  • 日本初の親水公園は、1973年に完成した東京都江戸川区の古川親水公園である。

親水(しんすい)とは、人間が水や川に触れ、親しみを深めることを指す概念である。1960年代後半、都市河川が水害や公害といった課題に直面していた時期に、東京都の河川計画技術者らによって提唱された造語である。従来の河川行政が治水や利水といった物理的・機能的な側面を重視していたのに対し、親水は景観、エコロジー、レクリエーション、気候調節、そして心理的・精神的な関係性を含めた多面的な価値を河川に見出すことを目的としている。

歴史的背景

古来、河川の氾濫は人々の生活に甚大な被害をもたらしてきたため、治水は行政の最優先課題であった。高度経済成長期には、都市河川の多くがコンクリート護岸で固められ、物理的な「流水機能」の確保が優先された。しかし、これに伴い都市住民が水辺から隔絶されるという問題が生じた。こうした状況を受け、1969年から1970年にかけて土木学会の年次学術講演会などで親水の概念が発表され、河川を単なる排水路や治水施設としてではなく、人間と自然が共生する社会的な空間として捉え直す動きが広がった。

親水公園と親水護岸

親水の概念を具現化する手法として、親水公園親水護岸の整備が進められた。親水公園は、河川や湖沼、海浜などの地形を利用し、住民が水辺に近づけるように整備された公園である。日本における先駆的な事例として、1973年に完成した東京都江戸川区の「古川親水公園」が挙げられる。親水公園はレクリエーションの場としての機能だけでなく、大規模災害時の避難場所や生活用水の確保といった防災上の役割も期待されている。

また、護岸整備においても、従来の侵食防止機能に加えて、自然に近い状態を回復させる「親水護岸」の導入が進んでいる。これにより、人と川との障壁を取り払い、生物の生息環境を改善しつつ、市民が水に親しめる環境が各地で創出されている。

よくある質問

親水とはどのような意味ですか?
水や川に触れることで、それらに対する親しみを深めることを指す概念です。単なる物理的な利用だけでなく、心理的・精神的なつながりや景観、生態系への配慮を含みます。
日本で最初の親水公園はどこですか?
1973年(昭和48年)に完成した東京都江戸川区の「古川親水公園」が、日本で最初の親水公園とされています。
親水護岸とは何ですか?
本来の護岸機能である侵食防止に加え、人が水辺に近づきやすくするための階段や遊歩道、自然に近い素材を用いた景観配慮などが施された護岸のことです。

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参考文献

  • デジタル大辞泉「親水とは」コトバンク
  • 土木学会編『土木用語大辞典』技報堂出版、1999年。
  • 彰国社編『建築大辞典第2版』彰国社、1993年。
  • 江戸川区「古川親水公園」公式サイト