気象学
視程の定義と気象観測における重要性

気象学における視程(してい)の定義、水平視程や卓越視程、滑走路視距離(RVR)などの種類、観測方法、視程障害の原因について解説します。
📌 主なポイント
- ✓視程とは、肉眼で目標物をはっきりと確認できる最大の距離、すなわち大気の見通しのことである。
- ✓日本の飛行場などでは、全方位のうち割合が最も多い視程距離を「卓越視程」として報告する。
- ✓視程障害の主な原因には、霧、靄、降水、煙霧、黄砂、地吹雪などが挙げられる。
視程(してい)とは、肉眼で目標物をはっきりと確認できる最大の距離、または大気の見通しの度合いを指す気象用語である。気象観測や航空交通管制において非常に重要な指標となっている。

視程の種類
単に視程という場合は、水平方向の距離を示す水平視程を指すことが多い。ただし、国や利用目的によってその定義や報告方法は異なる。
航空交通管制の分野では、国や地域により採用する定義が異なる。例えば、ヨーロッパの多くの飛行場では最小視程が採用されている一方、日本やアメリカ合衆国の飛行場では全方位のうち割合が最も多い値を用いる卓越視程(たくえつしてい)として報告される。
また、濃霧などの影響により鉛直方向の見通しが著しく制限される場合には、鉛直視程(Vertical Visibility)が用いられる。
視程の定義と観測方法
視程の計測方法には、大きく分けて目視による観測と機械計測の2種類が存在する。
目視観測では、観測地点からあらかじめ距離を調べておいた目標物(ランドマークなど)をどの程度視認できるかによって判断する。目標物には、明るい視界の中でも判別しやすいよう暗い色のものが選ばれることが多い。
一方、機械計測では視程計が用いられ、世界気象機関(WMO)が定義する気象光学距離(MOR)などが計測される。国際民間航空機関(ICAO)の国際民間航空条約の附属書3では、国際航空気象に関して詳細な定義が定められており、滑走路視距離(RVR)なども専用の滑走路視距離計によって観測される。
視程の変化とその原因
視程が通常よりも小さくなる現象は視程障害と呼ばれ、様々な気象条件や大気の状態によって引き起こされる。
- 降水:雨、雪、霙、細氷(ダイヤモンドダスト)などが視界を遮る。
- 霧・靄:空気中の微小な水滴や氷晶が地上付近を覆う現象。日本では視程1 km未満を霧、1 km以上10 km未満を靄と定義している。
- 煙霧:煙、煤、塵、埃、火山灰などの微小粒子(エアロゾル)が原因となる視程低下。
- 地吹雪や黄砂:積もった雪や砂塵が風によって舞い上がり、視界を極端に悪化させる。
視程が極端に低下した場合、航空機の離発着、自動車の運転、徒歩での移動などに深刻な影響を及ぼし、交通網の麻痺や事故のリスクを高める原因となる。
よくある質問
視程とは何ですか?
肉眼で物体をはっきりと確認できる最大の距離であり、大気の見通しの良さを表す気象上の指標です。
霧と靄の違いは何ですか?
日本の規定では、視程が1 km未満の場合を霧、1 km以上10 km未満の場合を靄と定義しています。
卓越視程とは何ですか?
全方位の視程のうち、最も割合が大きい(または全方向の平均的な)視程距離を指し、航空交通管制などで用いられます。
関連記事
気象観測霧煙霧航空気象
参考文献
日本と世界の議会・法令・官庁資料(国立国会図書館)、Meteorological Service for International Air Navigation (ICAO), 気象庁視程階級表