航空工学

超音速機の空気取入口におけるショックコーンの構造と役割

超音速機の空気取入口におけるショックコーンの構造と役割
超音速機のエアインテークに設置されるショックコーンの目的、歴史、固定式と可変式の違いについて詳しく解説します。

📌 主なポイント

  • ショックコーンは超音速機のエアインテークに設置され、衝撃波をコントロールして空気を減速させる装置である。
  • マッハ数に応じて衝撃波の発生位置が異なるため、可動式または固定式の機構が用いられる。
  • ソビエト連邦におけるMiG-19の開発や実験機において研究が先行した。

ショックコーンとは、超音速機のエアインテーク(空気取り入れ口)に設置される円錐状または楔形の装置である。超音速飛行時に発生する衝撃波を制御し、ジェットエンジンが必要とする空気を効率よく亜音速に減速して取り込む役割を果たす。

目的と原理

ジェットエンジンが効率よく作動するためには、必要な空気量が乱流なく一定の圧力でエンジンに供給される必要がある。しかし、機体が遷音速や超音速に達すると、空気取入口付近で衝撃波が発生して乱流が引き起こされる。また、低速の境界層の吸い込みなどによって圧力分布が乱れ、エンジンが十分な空気を吸い込めなくなったり、「圧力ディストーション」と呼ばれる現象によって正常な動作が損なわれたりする。

こうした状況を回避するため、ショックコーンによって衝撃波を適切にコントロールし、エンジンへ送る空気を亜音速まで安全に減速させる。飛行速度のマッハ数によって衝撃波の発生位置や角度が変化するため、一部の機体ではショックコーンを前後に可動させる機構や制御装置が組み込まれている。しかし、部品点数の増加や重量・コストの上昇を招くため、マッハ2程度までの対応であれば固定式として省略されることもある。

MiG-21 のショックコーン
MiG-21 のショックコーン

歴史的発展

超音速機の実用化初期において、機体は亜音速機と類似した空気取入口を備えていた。このため超音速飛行時にエンジンの効率低下や損傷を招く問題があったが、当時は衝撃波を直接制御する発想は一般的ではなかった。

ショックコーンの効能に関する研究ではソビエトが先行した。機首に空気取入口を持つMiG-19にレーダーを搭載するため、レドームをインテーク内に設置したところ性能が向上したことが発端となった。のちのMiG-21につながる計画案のYe-2では、すでに機首に可変式のショックコーンが備えられていた。

F-104の固定式コーン
F-104の固定式コーン

ソビエトの設計局が機首の空気取入口にコーンを配置した一方、フランスはミラージュシリーズにおいて胴体側面の空気取り入れ口に1/2円錐の可動式ショックコーンを採用した。アメリカでもF-104でミラージュと同様の1/2円錐(固定式)を採用し、ラムジェットで飛行するSR-71などが円錐形を採用している。

X-35の固定式コーン
X-35の固定式コーン
Su-20の可動コーン
Su-20の可動コーン
SR-71のショックコーン。音速を超え、さらに高速になると後方へ移動する
SR-71のショックコーン。音速を超え、さらに高速になると後方へ移動する
ミラージュ IIIのハーフコーン
ミラージュ IIIのハーフコーン
F-15の空気取り入れ口
F-15の空気取り入れ口。上端部分がファーストランプ、継ぎ目以降がセカンドランプと呼ばれ、その奥にはさらにサードランプ、ディフーザーランプと続き、ダクト上面には境界層の排出口や流量を調整するバイパスドアがある。これらはAICによって動作し、ダクトの断面積や内壁の角度が最適な空気流量や圧力になるように自動で調節される。

よくある質問

ショックコーンの主な役割は何ですか?
超音速飛行時に発生する衝撃波をコントロールし、ジェットエンジンが必要とする空気を効率よく亜音速に減速して取り込むことです。
なぜ可動式と固定式があるのですか?
飛行速度のマッハ数によって衝撃波の発生位置が変わるため、広い速度域に対応するために前後に動かす可動式が採用されますが、構造の簡略化や軽量化を優先して固定式とされる場合もあります。

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ジェットエンジン超音速衝撃波エアインテークMiG-21

参考文献

ウィキペディア日本語版「ショックコーン」項目および関連航空工学資料。